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新型コロナウィルス関連肺炎に関する注意喚起について(2020年3月9日情報)

2020年3月9日更新

学生ならびに教職員各位 

2020年1月27日
保健管理センター所長 本田善一郎

新規コロナウイルス感染症COVID-19世界の動向

中国湖北省武漢市に端を発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症、COVID-19は世界的に感染が拡大し、2020年3月7日現在WHOの発表では中国での確定診断例80,813例(79.3%)、その他の地域21,110例(20.7%)、中国での死亡例3,073例(死亡率3.8%)、その他の地域413例(死亡率2.1%)と報告され、図1に示す中国、中国以外の国、地域での新規症例数(確定診断症例数)の時経過(Epidemic curve)からも流行の主座は中国以外の国、地域に移っています。中国の新規発症数は約10日の半減期で漸減し、一時の停滞から脱して3月7日現在100例/日まで減少し、強力な封じ込めが奏功している形です。

0309画像1

 日本国内、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号、韓国、イラン、イタリア、その他の国、地域における新規発症数、総発症数を図2, 図3に示しています。前回(3月2日掲載記事)同様にイラン、イタリアでの新規症例数は急峻に増加していますが、韓国での新規症例数減少に転じており、韓国での大きな感染集団の封じ込めが効果を上げているように見えます。この1週間で、韓国、イラン、イタリア(および中国)を除いた、その他の国、地域への感染の移動が明瞭となり、ことにイタリア以外のヨーロッパ諸国(ドイツ 639、フランス 613、スペイン 374、スイス 209など、3月7日WHO)はその~70%を占め、アメリカ合衆国(213、同)にも感染が広がっています。日本における発症数(診断症例数)は漸増に止まっており、先週に引き続き、現時点が日本における感染者総数を抑制するために極めて重要な時期であることが示されています。(2020年3月8日)

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各国の死亡率は表1のようであり、大きなばらつきがあり、年齢構成、生活習慣、暴露ウイルス数、遺伝的素因、医療給付の差異、全数把握の不完全さなど、様々な要素が影響している可能性があります。

0316図3
WHO: Novel Coronavirus (2019-nCoV) situation reports
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/

WHO、日本政府、各国の対応(3月9日情報)

WHOは中国を含む全世界の危険度を極めて高い(very high)に引き上げました。日本政府は日本時間3月9日0時以降に、中国全域韓国全域を出発し(トランジットも含め)日本に入国する外国人、日本人への検疫を強化し、14日間、検疫所長が指定する場所で待機し外出しないように求めることを明らかにしました。
厚労省 水際対策の抜本的強化に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou_00001.html
3月8日現在、韓国をはじめ27ヵ国で日本を含む感染地域からの入国制限が行われ、中国、台湾を含む62ヵ国で入国後の行動制限措置が取られています。
新型コロナウイルス_外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
日本政府は小中学校の春休み前倒し、イベント開催の延期や規模縮小を要請するなど、集団感染リスクを低減する施策を行なっています。

感染対策:日本における2次感染をいかに最小に食い止めるか

 COVID-19は決して軽症に経過する疾患とは言い切れません。比較されることの多い季節性インフルエンザは予防接種、治療薬の存在下で死亡率は0.1%程度であり、若年、壮年者の死亡率はさらに極めて低いものです。中国の疾病予防センター(Chinese Center for Disease Control and Prevention)の報告では、致死率は80代、60代、40代、30代以下でそれぞれ14%, 3.6%, 0.45%, 0.2%とされ、この若年壮年者死亡率自体が看過できない値です。すでに日本では20代の重症例が1例報告され、複数の若年者が肺炎を発症し入院を必要としています。若年者を含め、感染に対する万全の注意が必要となります(2020年2月25日) 

3月8日、日本で2例目となる20代の重症例が報告され、SARS-CoV-2によると考えられる意識障害、髄膜炎を伴うことが発表されました。北海道は一時感染者数の立ち上がりが急峻となりましたが、いち早く2月28日に首長から「緊急事態宣言」が出され新規症例数の急激な増加が避けられています。北海道での分析から無症状の若年感染者が発端者となりクラスター(感染小集団)が形成され感染拡大に繋がったと考えられており、難しいことですが、集会を避けるなど、活力のある若年者の自重が求められています。(2020年3月8日)

新型コロナウイルスの感染性の高さはすでに明らかにされていますが、最近の報告(中国における臨床医on-line platformをデータベースとした)によると、感染者のボリュームゾーンは25歳から49歳(~69歳)にあることが推定されています(Lancet February 20, 2020 DOI: https://doi.org/10.1016/S2589-7500(20)30026-1)。若年者の方も油断せず、感染予防に配慮してください。(2020年2月25日)

我々の注意すべき点は、不特定他者からの感染リスクを低減し、他者に感染を広げないことにあります。すなわち、  

  1. 感染者との接触を避けること
  2. 手すりやつり革、キーボードなどに残存するウイルスを、自らの手から目、鼻、口の粘膜に移行させないようにすること
  3. 自分が発端者となり他へ感染を広げないこと

が必要となります。
ですので、

  • 外出、出勤退勤時など常に、目、鼻、口を触らないように、手を肩より上に上げないように習慣づけましょう。マスク着用も一定の効果があります。
  • 職場、自宅に帰るなど区切りの際に、石鹸、流水で20秒間手を洗ってください。アルコール含有消毒液も有効です。
  • 不要不急の会合を中止し、個々人が人混みに行かないように、時差出勤、在宅勤務を積極的に取り入れてください。
  • 部屋の換気をしてください。寒い時期ですが、窓を開けて空気を入れ替えましょう。
  • 感染地域から帰国した際は14日間症状を観察し、できるだけ出勤登校を控え、人との接触を最小限としてください。
  • 熱がある、咳が出る、体がだるい、などの症状があったら、自宅待機として、家族との接触、タオルなどの共用を避けてください。
  • 受診する際は、必ずマスクをしてください。かかりつけの医療機関に連絡して指示を受けることが理想的です。状況から新型コロナウイルス感染症が否定できない場合は、以下の連絡先に相談して指示を受けてください(2020年2月25日)

もし、ご自身にがある、感染症を思わせる症状のある場合の指針は、  大学ホームページに示されている指針に従って行動してください。
http://www.ocha.ac.jp/900/importantnews/20200226_3.html

家族を含め他者に感染を広げないこと、自身の感染リスク、重症化のリスクを正しく判定し受診し、検査を受けること、が重要であり、そのためには、

●熱がある、咳が出る、体がだるい、などの症状がある場合は、自宅待機として、家族との接触、タオルなどの共用を避け、経過を見るとともに、大学の所属機関、保健管理センターに連絡してください。
●症状が強い、数日続く、罹患者との接触が否定できない、などの場合は、下記の連絡先(保健所特設機関等)に電話相談して、受診医療機関、受診方法に関する指示を受けてください。受診の際には医療機関に連絡し、マスクをして受診するなど、他者への感染を起こさないことにご配慮ください。
●高齢、基礎疾患(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病など)など重症化のリスクがある場合は、かかりつけの医療機関に連絡して指示を受けることが最も良い方法です。あるいは、下記の連絡先に早めに電話相談して指示を受けてください。
●3月2日(月)の週にCOVID-19検査(PCR検査)が保健収載される可能性があります。保健所等への連絡を経ずに、医師の判断で広く検査が行われますが、現状の検査能力から当面は対象者が選別されるものと思われます。(2020年3月2日)

連絡先:

厚労省電話相談窓口
0120-565653 9時から21
時帰国者・接触者相談センター(注1)
文京区:03-5803-1824 9時から17時
板橋区:03-3579-2321 9時から17時
他の地域は以下のURL参照
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/kikoku_sesshoku.html
合同電話相談センター(注1)
03-5320-4592 夜間および休日
保健管理センター

COVID-19日本における検査体制、感染封じ込めの評価に関して(3月9日情報)

 COVID-19(SARS-CoV-2)の確定診断は現状ではRT-PCRによって行われます。検査法を評価した報告(Detection of 2019 novel coronavirus (2019-nCoV) by real-time RT-PCR Eurosurveillance:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.3.2000045)があり、近縁のコロナウイルスを含むCOVID-19以外のウイルス感染患者サンプル297例を検査したところ全例で陰性であり、特異度(COVID-19に感染していない人を正しく陰性と診断する確率)はこの範囲で100%であり、検査範囲で偽陽性はなかったとされています。ですので、検査陽性とされた症例は確かに感染があったとして良さそうです(もし特異度が95%: 5%に偽陽性が出るとすると、~150,000例を検査した韓国では7,500例の偽陽性が出てしまいます)。一方、感度は低く設定され、50-70%とする報告が多く、高い特異度と併せ、繰り返し検査をするという方針の根拠となっており、また、多数の症例に検査をすることを担保しています。

 日本国内、他国から、日本検査症例数が少なく、そのために感染者数を過小評価しているとの意見が出されています。検査はすでに保険収載され今後例数が増加し実数が明らかにされると考えられますが、現在のデータから真の感染者数を類推することができるでしょうか

 3月8日厚労省発表によると
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#kokunaihassei)、日本での検査数(クルーズ船乗船者を除く)は7,347例であり、最も広範に検査を施行している韓国(~150,000例、報道による)と比べて明らかに少ない値です。一方、陽性者数は日本439例、韓国6,767例(感染者総数)であり、陽性率はそれぞれ6.0%日本)、4.5%韓国)と、1.5倍程度で大きな開きはないように見えます。また、最も信頼の置ける、solidなデータは「死亡者数」と考えられますので、世界各国の「死亡率」(=「死亡者数」/「感染者数」)データのとる範囲からその国の「感染者数」(=「死亡者数」/「死亡率」)が取りうる範囲を(逆算して)推定できるかもしれません。表1に見るように現在「死亡率」データが最小なのは韓国で、その値が0.7%ですから、もしこの値を用いるとすると日本では923と実データの2倍程度(感染率の比=1.5/0.7=2と考えた方がわかりやすいかもしれません)と見積もられます。おそらく日本の「死亡率」は0.7%よりももう少し低いと考えられますので、日本の真の感染者数は現在の数倍程度ではないかと予測しています。

 検査範囲の拡大に従って感染者数は一時増加すると考えられますが、その程度はおそらく大幅なものではなく、しかも軽症の方に広がると考えられますので、感染者数が一定程度増加しても落胆する必要はなく、封じ込めの手を緩めてはならないと考えられます。
 3月8日現在、北海道101、東京64、愛知63、大阪55、神奈川35、千葉22など、小クラスターが散在する状況ですが、いずれも保健所による網羅的、献身的な接触者検診が行われ、多くの場合で感染のつながりが捉えられていることは、他国の現状に見る感染制御の困難さに鑑みると(図2, 3参照)驚くべきことにも思われます。日本の感染制御の取り組みは世界の注目を集めています。

関連リンク / Related Links

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