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室伏学長の研究成果 変形性膝関節症治療薬の臨床研究を開始

2017年5月25日更新

室伏きみ子学長(専門:細胞生物学、生化学、科学教育)が30年以上も前に発見し、生体中での働きや医療等への応用について研究を続けてきた環状ホスファチジン酸(cPA)を成分とする変形性膝関節症の治療薬が、米国の規制当局(FDA)から臨床研究の開始許可を取得しました。
臨床研究の開始許可は、長期間にわたって、室伏学長と共に同物質を化粧品や医薬品に応用する研究を続けてきたSANSHO株式会社が取得したもので、今夏にも試験を始めることになります。
今後、段階的に安全性の確認と有効性の検証を経て実用化された場合、多くの患者の症状を和らげ、生活の質の向上に資することが期待されます。

※日経産業新聞(2017年5月16日(火))においてこのことが紹介されました。

変形性膝関節症とは

加齢、肥満、怪我などがきっかけとなって膝の軟骨や半月板の変形や断裂が起こり、膝関節の機能が低下して引き起こされる疾患で、炎症と痛みを伴う。高齢者に多く見られ、運動が制限されることにより、生活の質を著しく低下させる原因ともなる。現状では根本的な治療薬は存在していない。

環状ホスファチジン酸(Cyclic phosphatidic acid: cPA)とは

独特な環状リン酸構造を持つ脂質メディエーターとして、真性粘菌Physarum polycephalum から単離され、1992年にその構造と細胞増殖抑制作用が報告された。その後ヒトの血清や動物脳をはじめ、広範な生物とその組織に存在していることが明らかにされ、これまでに、がん細胞浸潤・転移抑制、神経細胞生存・分化促進、疼痛抑制などが特異的な作用として見出されている。

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