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令和5年度 第4回アバナード寄附講座

2023年12月11日更新

お茶の水女子大学SDGs推進研究所×アバナード寄附講座

学生が書くWEB原稿

2023年10月24日 第4回
担当ライター:青木安彌

こんにちは! お茶の水女子大学生活科学部4年の青木安彌です。アバナード寄附講座第4回目の授業(10月24日)では「防災」について考えました。災害と隣り合わせの日本では、防災との関わり方について個々人が「自分事として」考え、理解することが非常に重要です。今回の授業では、講師として、東京臨海広域防災公園内そなエリア東京で副センター長を務めていらっしゃる澤善裕先生をお招きし、防災についてのワークショップを行いました。

そなエリア東京を訪問して

そなエリア

履修者は、事前学習として有明にある防災体験学習施設「そなエリア東京」を授業日までに訪れることが授業課題として課されていました。そなエリア東京には、地震災害後を生き抜く知恵を学ぶ防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」があります。首都直下地震について、「なぜ起きるのか」「いつ、どのような被害想定なのか」を紹介する特設コーナーや、個人にタブレット端末が配布され、地震発生直後の現場(仮想空間)でどのような行動をとるかを選択入力し、生き抜くヒントやグッズの紹介があり、小さな子供から高齢者まで、防災を楽しく、臨場感をもって学ぶ施設であると感じました。

履修者のそなエリア訪問レポートには、「家具を固定しておくことが重要だと思った」や「近隣住民との付き合いが災害発生時に役に立つことを知った」など具体的な防災に関する言及がみられた一方で、「防災を他人事として捉えてしまっていた」といった防災との向き合い方について考えを改め直す意見も多くみられたのが印象的でした。具体的な災害対策を知ることはもちろん重要ですが、まずは防災を自分の問題として認識することが必要です。臨場感溢れる防災体験学習ツアーに参加したり、さまざまな展示を見学したりする事で、履修者の防災に対する意識が少し変化したのではないでしょうか。

  • 東京直下72hTOURの様子東京直下72hTOURの様子
  • 防災のポップな展示と防災グッズの紹介防災のポップな展示と防災グッズの紹介

ワークショップ〜被害状況をイメージする〜

第4回講義の様子

授業では、ホワイトボードツール MURALに「地震発生から72時間後、そして30日後、自分は何に困るのか」を各自が想定したシーンにもとづき記入するワークショップが始まりました。自宅でくつろいでいる時の地震発生を想定した人、何千人もの人が集まるイベント会場での地震発生を想定した人、電車で移動中の地震発生を想定した人など想定される場面はさまざまで、それに従い想定される被災状況(自分が困ること)も多種多様でした。何に困るのかを書き出した時点で、それぞれの被害状況に関して一度澤先生からコメントをいただきました。中でも印象的だったのは「水」に関するお話です。大地震が起き、停電が発生するとポンプが止まってしまうため、マンションでは断水することがあるそうです。停電の目安は約1ヶ月、つまり、水が出ない生活が1ヶ月続きます。水が使えないと日常生活でさまざまな不自由が出てきますが、一番の問題はトイレだと澤先生は説明されました。災害が起きた時に後回しにされやすい問題ですが、放っておくと衛生環境が劣悪となり二次災害が生まれやすいため、防災を考える上で非常に重要な問題であるそうです。澤先生がお話しされた、実際に過去の大地震発生時に停電や断水に直面した人々が送った生活の様子は想像を絶するもので、防災について一人一人が真剣に取り組むことが必須であると、改めて考えさせられました。

澤先生からコメントをいただいた後は、「本当に困る出来事」を緊急度と被害者数の二軸で分類し、被害の深刻さを可視化するグループワークを行いました。直前の澤先生のコメントや各自が持つ防災に関する知識を基に、学生同士が積極的に意見交換をしている様子が見られ、感銘を受けました。

防災のために生きるのではない。生きるために防災をする。

最後に、澤先生から参加者に向けてひとつのお願いが伝えられました。「防災を考える時も、楽しい気持ちを忘れないでください。」とても意外な言葉のように感じられるかもしれませんが、背景には「防災は真剣に取り組むとつらく続かないことがある。だからこそ、楽しみながら持続させることが重要だ」という澤先生のメッセージが込められています。そなエリアでも、クイズに答えながら行う体験学習ツアーや、ポップな展示は、「楽しみながら防災を学ぶ」という考え方が反映されています。SDGsの課題を解決する際にも、このような視点が必要なのではないでしょうか。「私たちは防災のために生きるのではない。生きるために防災をする。」といった澤先生の言葉はとても印象的でした。
いつ起こるかわからないが、いつか必ず起こると言われている災害に対して、私たち一人ひとりが真剣に向き合い、防災への意識を高めていくことは、SDGsのスローガンでもある「誰一人残さない」持続可能な社会を築くために必要なことだと、今回の授業を通じて多くの人が気付いたのではないでしょうか。

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