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新型コロナウィルス関連肺炎に関する注意喚起について(2020年2月17日情報)

2020年2月17日更新

学生ならびに教職員各位 

2020年1月27日
保健管理センター所長 本田善一郎

新規コロナウイルス感染症の世界の動向 

 昨年末から、中国湖北省武漢市(Wuhan City, Hubei Province)に発生した新型コロナウイルス感染症(2020年2月11日WHOによりCOVID-19と命名)は同市を中心に感染が急速に拡大し、2020年2月15日現在WHOの発表では中国での確定診断例50,054(99%)、その他の地域526(1.0%)、中国での死亡例1,524(死亡率3.0%)、その他の地域2(死亡率0.3%)と報告されています。地域別の発生率、死亡率に大きな変化はありませんが、中国以外の症例数が少なく、感染に時間差があるため、死亡率差異の解釈は慎重に行う必要があります。(2020年2月16日)

 中国における発症数はWHOおよび中国の公的機関NHC China(National Health Commission of the People’s Republic of China)から公表されています。データを図1図2にまとめてありますが、一部を除きほぼ同様のデータが報告されています。WHOデータでは2月5日以降新規症例数は単調に減少し、新規発症はピークアウトしたように見えます。NHC Chinaは2月13日アナウンスメントで「ウイルス検出を行わない症例でもCT画像などから臨床的に強く疑われる場合はCOVID-19と診断する」と方針を変更しており、そのために同日の発症数が一過性に急上昇(15,152例)していますが、その後の発症数は減少しているように見えます。現在の封じ込めレベルが維持されれば、感染の拡大は抑制される可能性がありますが、封じ込めレベルが低下する可能性があり、また新規感染の絶対数がいまだに多いことから、感染の収束を見通すことは現状では困難です。(2020年2月16日)

WHO: Novel Coronavirus (2019-nCoV) situation reports
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/(新しいウインドウが開きます)

0217図

WHO及び日本政府の対応

 WHOは中国全土を最高レベルのLEVEL3 Warning に引き上げ、Avoid Nonessential Travel(不要な渡航を避ける)勧告をしています。日本外務省は湖北省全域、浙江省温州市にレベル3:渡航中止勧告を、それ以外の中国全土にレベル2:不要不急の渡航中止勧告を出しています。日本政府は1月31日COVID-19を指定感染症に定め、患者および無症候性病原体保持者への入院指示、就業および登校制限が行われます。(2020年2月16日)

日本国内の状況(2月16日)

  日本国内、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号内、その他の中国外地域における新規発症数、総発症数を図3に示しています。日本における発症例数は急速な増加を見せてはいませんが、湖北省など感染地域からの発端者に紐づけられない新規症例が散発的に見出され、それらの症例を発端者とする2次感染が少数ながら報告されています。感染者の国内流入を抑止すると共に、日本国内における2次感染をいかに最小に食い止めるかが現在の最大の課題となります。(2020年2月16日)

 クルーズ船では2月5日の発症を契機に乗客乗員3711人の14日間の船内隔離を行い、新規発症を抑制し日本国内への感染蔓延を防ぐ方針としましたが、図3に見られるように新規症例数の減少は観察されず、船内での感染持続が否定できない状況です。距離の近い密閉空間で感染を防ぐことの難しさが現れているのかもしれません(2020年2月16日)

20200217図3

感染対策:日本における2次感染をいかに最小に食い止めるか(2月16日情報)

   COVID-19は決して軽症に経過する疾患とは言い切れません。比較されることの多い季節性インフルエンザは予防接種、治療薬の存在下で死亡率は0.1%程度であり、若年、壮年者の死亡率はさらに極めて低いものです。COVID-19に関して、基礎疾患のない若年、壮年者のデータが少ないのですが、情報からはこれらの年齢層の重症化を否定できません。行政としては、発端者同定および接触者検診を行い、患者および感染者を速やかに同定、隔離(自宅待機、入院を含め)し、適切に医療機関に受けわたすことが最重要課題となります。我々は、不特定他者からの感染リスクを低減し、他者に感染を広げないことが要請されます。すなわち、  

  1. 感染者との接触を避けること、流行地域に渡航しないこと
  2. 手すりやつり革、キーボードなどに残存するウイルスを、自らの手から目、鼻、口の粘膜に移行させないようにすること
  3. 自分が発端者となり他へ感染を広げないこと

が必要となります。ですので、

  • 外出、出勤退勤時など常に、目、鼻、口を触らないように、手を肩より上に上げないように習慣づけましょう。マスク着用も一定の効果があります。
  • 職場、自宅に帰るなど区切りの際に、石鹸、流水で20秒間手を洗ってください。
  • 不要な場合は人混みに行かないように。時差出勤もご考慮ください。
  • 部屋の換気をしてください。寒い時期ですが、窓を開けて空気を入れ替えましょう。
  • 感染地域から帰国した際は14日間症状を観察し、できるだけ出勤登校を控え、人との接触を最小限としてください。
  • 熱がある、咳が出る、体がだるい、などの症状があったら、自宅待機として、家族との接触、タオルなどの共用を避けてください。
  • 受診する際は、必ずマスクをしてください。かかりつけの医療機関に連絡して指示を受けることが理想的です。状況から新型コロナウイルス感染症が否定できない場合は、以下の連絡先に相談して指示を受けてください(2020年2月16日)

なお、高齢者、基礎疾患がある場合(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、免疫を抑制する薬の使用など)は重症化しやすく、早期の受診が必要な場合があります。主治医と相談するなど適切なご配慮をお願いします。

連絡先:

厚労省電話相談窓口
0120-565653 9時から21
時帰国者・接触者相談センター(注1)
文京区:03-5803-1824 9時から17時
板橋区:03-3579-2321 9時から17時
他の地域は以下のURL参照
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/kikoku_sesshoku.html
合同電話相談センター(注1)
03-5320-4592 夜間および休日
注1 これらの窓口は主として以下の人を対象としています。

  1. 発熱または呼吸器症状(軽症含む)があり新型コロナウイルス感染者と接触があった人
  2. 37.5度の発熱かつ呼吸器症状があり発症前14日以内に湖北省に渡航、居住していた人
  3. 同症状があり発症前14日以内に湖北省に渡航、居住していた人と濃厚接触がある人(2020年2月16日)

関連リンク / Related Links

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»厚生労働省ホームページ (新しいウインドウが開き、本サイトを離れます)
»CDC(Centers for Disease Control and Prevention)ホームページ (新しいウインドウが開き、本サイトを離れます)

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