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2015年7月18日更新
本日は、お暑い中、お茶の水女子大学理学部のオープンキャンパスにお運び頂き、まことに有難うございます。台風の影響を心配して居りましたが、熱帯低気圧に変わりましたので、沢山の方々にお出で頂くことができました。しかし、今年になって初めて日本列島に上陸した台風11号は、各地で多くの被害を出しました。被害を受けられた方々に、心からお見舞い申し上げます。 そんな中で開催されるオープンキャンパスですが、今日のこの機会を、本学の教育と研究、学生支援策などについて、より良く知って頂くために役立てていただければ幸いです。また、今年140周年を迎える本学キャンパスの雰囲気と歴史の一端を、感じ取っていただければ嬉しく思います。
お茶の水女子大学の歴史は、日本初の女性のための高等教育機関として、1875年に「御茶ノ水」の地に、東京女子師範学校として設立されたことに始まります。長く、女性のための高等師範学校として、優れた女性教育者の育成に当たってきましたが、第二次世界大戦後の1949年に新制大学としての「お茶の水女子大学」が発足し、総合大学としての歩みを開始しました。新制大学に移行する際に、発祥の地である「御茶ノ水」の名が、大学の名称になりました。
その後、1963年に大学院修士課程が、1976年に博士課程が設置されました。
その歴史の中で本学は、数多くの優れた女性教育者や研究者を広く社会に送り出して来ました。
女性が学術研究を行うことが困難な時代から、本学の卒業生は広い視野を持って、国際的に活躍してきました。また本学・理学部は、日本における理系女性の源流としての役割を果たし、明治時代から理系の教育者や研究者を輩出しています。
例えば、わが国の女性科学者として初めて米国に留学し、初めて海外の学術誌に論文を発表して、初の女性理学博士となった保井コノさんや、女性で初めて帝国大学への入学を許され、二人目の女性理学博士となった黒田チカさん、また、第2次世界大戦前後の困難な時期にフランスに渡ってジョリオ=キュリー夫妻の許で国際的な女性物理学者として活躍し、日仏研究者の交流にも大きな役割を果たした湯浅年子さんなどを先駆けとして、現在に至るまでに数多くの学者・研究者が育って、国の内外で活躍しています。 本学の奨学金制度には、保井・黒田奨学基金、湯浅年子記念特別研究員奨学基金など、こういった素晴らしい先輩たちのお名前を冠したものがあり、若い人たちの励みになっています。
わが国初の女医として知られている荻野吟子さんも、本学の卒業生です。
現在も、様々な領域で活躍している女性たちの出身大学・大学院を見てみますと、本学出身の方が多いことに驚かされます。こうした先輩たちの活躍は、後に続く若い方々にとって、とても力強い後押しとなってくれるでしょう。
2004年に、全ての国立大学が国の組織から独立した「国立大学法人」となりました。その際に、お茶の水女子大学は、世界中の全ての女性たちの夢の実現を支援することを目指し、また、国境を越えた研究と教育文化を創造することを目指して、『学ぶ意欲のある全ての女性にとって、真摯な夢の実現の場として存在する』とのミッションを掲げました。そして、学びたくても学ぶことのできない開発途上国の女性たちをも含めて、国籍や年齢を問わず、全ての女性たちの成長と資質能力の開発を支援するための活動を開始しました。
それから11年、本学は世界に向けて大きな窓を開き、様々な国からの留学生を受け入れ、また、日本人の学生達の様々な国への留学を後押ししています。
これまでに、本学の学部と大学院は、世界54カ国もの国々からの留学生を迎えています。昨年10月現在で26カ国258名の留学生が在籍しており、学生・院生や研究者の交流協定を結んでいる大学も、現在64校に上っています。
本学で学ぶ学生たちが、世界中の女性たちと学びを共有し、多様な文化と異なる価値観や考え方を持った人々と深く理解しあうこと、そして、互いに切磋琢磨しながら自らを成長させていくことを願っています。
毎年、本学からは、学部から約510名、修士課程から約250名、博士課程から約60名の卒業生、修了生が社会に巣立っていきます。その就職先は、大学や国・公立の研究所、初等・中等学校、様々な企業および企業の研究所、府省や県庁・市役所等の行政機関、裁判所などの司法機関、テレビ局や新聞社などの報道機関、独立行政法人や社会福祉法人、金融機関、など様々ですが、卒業生・修了生たちはそれぞれに、多様な場で活躍し、周囲からの信頼も集めて、後に続く女性たちのために道を拓いてくれています。 また、理学部の卒業生の多くが大学院に進み、博士学位を取得する人も少なくありません。卒業生・修了生が、海外の大学や研究所等に留学するケースも数多く、また、博士学位取得後に、博士研究員として自らを磨く場を国の内外に求めるなどして、さらに上を目指して自己研鑽に励んでいる例も珍しくありません。
本学は、とても小さな大学ではありますが、本学で学ぶ若い人たちには、大きな夢と高い理想を持って勉学や研究に励んでいただきたいと思っています。
本学の教職員たちは、学ぶ意欲のある学生たちを心から応援しています。そして、若い人たちが自分自身の可能性を花開かせ、新しい世界を開拓して行く力を身につけることのできる、優れた教育と研究の環境を作るために、精一杯努力しています。小さな大学であることは、教職員と学生たちの距離がとても近いと言う利点もあって、学生たちが途中で挫折することのないよう、教職員たちが常に心を配って、教育や研究指導、生活指導に当たっています。
今日ここにお出で下さっている皆さまの多くが、自分自身を輝かせ、社会のために役立つ人となるために、本学を学びの場として選んで下さることを心から期待しています。
本日は、本学受験を考えてくださっている若い方々に加えて、多くの保護者の方々にもお出でいただきました。 お暑い中、本当に有難うございました。
平成27年7月18日
お茶の水女子大学長
室伏 きみ子