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平成28(2016)年度「第1回 辻村みちよ賞」選考結果報告

2017年2月17日更新

平成28(2016)年度「第1回 辻村みちよ賞」選考結果報告

辻村みちよ賞選考委員会委員長
お茶の水女子大学 生活科学部長 香西みどり

第1回辻村みちよ賞選考委員会は慎重に審議を行った結果、下記の方を辻村みちよ賞候補者として本学学長に推薦し、了承を得ました。
「辻村みちよ賞」設立趣旨についてはこちらをご覧ください
平成28年度「第1回 辻村みちよ賞」募集のご案内

辻村みちよ賞

島田 淳子 氏(お茶の水女子大学名誉教授)

業績『調理科学における多面的解析に関する研究』

島田氏は長年にわたり、家政学・生活科学の社会的普及活動および当該分野で活躍する女性研究者を増大させる多大な努力をした。学会関係では日本家政学会と日本調理科学会はじめ多くの学会の要職を務め、社会的活動として日本学術会議会員、家政学研究連絡委員会における活動はじめ数々の法人や審議会の委員、評議員を務めた。
日本家政学会は新制大学発足と同年の昭和24年10月に発足した家政学の母体となる学会であり、衣食住、家庭経営、児童といった生活全般を包含する家政学分野の研究者を増大させる要の学会であり、昭和60年には日本学術会議に家政学部門が創設され、学術会員1名を送り出して学術団体として我が国の学術振興の一役を担うこととなった。島田氏はこの日本家政学会において関東支部長、評議員、理事、副会長、会長と26年間にわたり要職を歴任し、家政学分野の研究者を牽引する重責を果たした。この間、日本学術会議の家政学研究連絡委員会委員長となり、第16期の日本学術会議会員となったが、210名の新会員のうち、島田氏は唯一の女性会員であった。その後、第20期日本学術会議では210名のうち40名の女性会員が選出されたことを考えると第16期日本学術会議における唯一の女性として家政学分野を代表する島田淳子氏が果たした功績は大変大きいといえる。
日本調理科学会は日本家政学会の一部会から昭和43年に調理科学研究会、さらに日本調理科学会へと発展した比較的新しい学問分野であり、島田氏はその草創期の昭和44年から本学家政学部調理学研究室の助手、助教授、教授として30年の長きにわたり、調理学の教育研究に携わり、この分野の大学教員として、また企業や研究所において、女性研究者として活躍する多くの卒業生を輩出した。本学会においては昭和61年の理事就任から平成17年に名誉会員となるまでの20年間、学会の支部役員、副会長、会長と要職を歴任した。以上のように島田氏は家政学分野における女性研究者を導き、飛躍させ、その業績を次世代に残す功績を果たした。
研究業績については平成4年に家政学に関する顕著な業績を挙げた功績として日本家政学会より「食品の調理機能の解明に関する研究」の題目で学会賞、平成11年には調理科学を発展させ、新たな研究手法を導入した功績として日本調理科学会より「調理科学の研究における多面的解析」の題目で学会賞が授与された。食品の調理による種々の変化に対する現象把握と機構の解明、さらに人間の感覚評価との対応づけによるおいしさとの関係解明といった視点からの研究成果は在職時に総数170報の学術論文として発表され、当該分野の発展に大きく貢献した。これらの功績により、平成12年には飯島記念食品科学振興財団より飯島食品科学賞が授与された。
島田氏は家政学・生活科学における教育研究をお茶の水女子大学において30年、昭和女子大学において12年の計42年間にわたり継続して行ったが、さらに当該分野の社会的普及活動においても著しいものがある。両大学在職中は学外において大学婦人協会大学基準委員、家庭料理技能検定委員会委員、管理栄養士国家試験委員、専門技術委員資格試験審査委員、学術審議会専門員、短期大学視学委員、学位授与機構審査会専門委員、第11回国際女性技術者・科学者会議委員会委員、大学基準協会家政系専門審査分科会委員、他多数の役職をこなし、家政学・生活科学分野の社会的普及活動に多大な貢献をした。

以上

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