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平成28年度「第2回 黒田チカ賞」選考結果報告

2017年1月6日更新

平成28(2016)年度「第2回 黒田チカ賞」選考結果報告

黒田チカ賞選考委員会委員長
お茶の水女子大学理学部長 吉田裕亮

第2回黒田チカ賞選考委員会は慎重に審議を行った結果、下記の2氏を、黒田チカ賞候補者として本学学長に推薦し了承を得ました。

黒田チカ賞

対馬かなえ 氏(国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 特任助教)

業績「型エラーデバッガの実装に関する研究」

対馬氏の主たる研究分野は計算機科学であり、特にプログラム言語のデバッカ実装に関する研究を行っている。博士前期課程在籍時には、コンパイラの型推論器を応用した埋め込み方式の型エラーデバッガに関する研究で、国際会議において Peter Landing 賞を受賞するなど、早くから国際的な研究活動を行っていた。
博士後期課程ならびに学位取得後の研究員時代には、対話的な型エラーデバッカの実装をケント大学と共同で行い、型エラースライスの研究に発展させた。この型エラースライスの重みについては、日本ソフトウエア科学会の研究論文賞を受賞している。国立情報学研究所に着任後はリアルタイムに構文解析を行う手法の研究に着手し、リアルタイム型デバッグに関する研究に関して、今後も国際的な活躍が大いに期待される。

黒田チカ賞

工藤まゆみ 氏(群馬工業高等専門学校 物質工学科 助教)

業績「らせん構造を有するフォルダマーの創製に関する研究」

工藤氏の主たる研究分野は有機化学であり、特に、分子内の弱い相互作用によりある種の折り畳み構造をとる高分子に関する研究である。これまで、らせん構造を有するフォルダマーの創製に掛かる研究として、芳香族層状らせん分子の立体構造の挙動解析ならびに仏国との共同研究でキノリン オリゴアミド フォルダマー の創製において顕著な業績を上げてきた。これらの研究における、らせんの右巻き・左巻きの構造遷移の解析は分子スイッチングや分子センサーなど様々な分野への応用も期待されている。また、現在は、らせんの不斉を活かした有機分子触媒の創製に関する研究に取り組むなど、引き続き、国際的な活躍が期待される若手女性研究者である。

以上

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