平成20年10月13日 食育シンポジウム 学長挨拶

平成20年10月13日 食育シンポジウム 学長挨拶

皆様、こんにちは。お茶の水女子大学の学長を務めております郷 通子です。本日は、秋たけなわの3連休の最終日にも関わらず、ようこそ、本学主催の食育プロジェクトのシンポジウムにお越しくださいました。心からお礼を申し上げます。

「子どもの発達・成長過程を見通した食育の実践と教育プログラムの構築」、通称「食育プロジェクト」は、平成19年度から3年間の予定で、文部科学省か ら特別教育研究経費のサポートを頂くことができました。この「食育プロジェクト」は、食育の推進と栄養教諭教育を目的としています。
本学には附属施設として、保育所「いずみナーサリー」、幼・小・中・高等学校が、すべて大学と同じこの敷地内にあり、様々なライフステージの学生に対して継続的に教育をしていく環境に恵まれています。
そこで、このプロジェクトの中核となる「SHOKUIKUステーション」を設置し、大学の役員会と「SHOKUIKUステーション」が中心となって、学 内外において、食育活動やその評価研究を行います。これらの成果を「食育推進プログラム」として広く発信することを、本プロジェクトの目標としています。 各附属学校園における具体的な食育活動や共同研究は、要旨集や本日のポスターセッションをご覧ください。
このような附属学校園での様々な活動を進める中で、小学校の給食施設改善の必要性が全学問題として取り上げられ、現在、給食室をこれまでの3倍の規模に 拡大し、より良い給食を提供できるよう、大学の執行部が主導して、必要な費用の確保をはじめ、給食WGを設置し、給食全体の改善に取り組んでいます。まさ に、国立大学法人お茶の水女子大学の総力を挙げて、「食育推進プログラム」のよりよい形での実現にあたっています。小学校の新しい給食は来年4月からス タートします。
本学は、「リーダーとなる女性を、あらゆる分野で輩出する」ことを教育の目的としています。将来の食育を担う女性リーダーを輩出するため、このプロジェ クトを通して学生の自主的な活動を支援することは、リーダー育成の実践教育となっています。学生ボランティアサークルのOchas(オチャス)は、いずみ ナーサリーのおやつの提供をはじめ、学内外で様々な食育活動を行っていますが、お茶の水女子大学の「食育プロジェクト」はこれらの学生の活動を支援し、さ らに、社会における活動の場を広げるためのサポートも行っています。
本学の学生たちが、いずみナーサリーで、これまでに作った「おやつのレシピ集」を、小冊子として、今回、作りましたので、皆様のお手元にお配りしまし た。レシピ作り、お菓子制作、写真撮影、レシピ集の絵やデザインなど、全て学生たちが自ら行ったものです。去る9月30日には、内閣府で開かれた食育推進 評価委員会に、本学の学生たちが招かれ、国内で行われている食育活動の先進例3つのうちの一つとして、活動を報告いたしました。彼女たちは大学で学んだ栄 養や食に関する知識を、食育活動を通して実践し、実践でしか学べない多くのことを身につけています。彼女たちの中から、栄養教諭のみならず、将来の食育を 拡大展開するリーダーが育つことと、大きな期待を寄せています。

食に関する現代の様々な問題を解決するために、平成17年に食育基本法が制定され、学校においても栄養教諭制度の導入により、食育を推進する方向性が示されました。
今年、1月の中央教育審議会答申「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取り組みを進めるための方策について」をふま え、学校給食法が大幅に改正されました。この改正では、さらに、学校における「食育の推進」が明確に規定され、栄養教諭の役割や食に関する指導の全体計画 の作成が明記されました。また、学校給食の栄養管理、衛生管理などの「給食の管理」に関する事項や設置者や管理者の役割が法に示され、学校給食について、 これまでにない、思い切った法改正です。
今年、3月28日に告示された新学習指導要領においては、総則に食育の推進が明記され、体育科、保健体育科、家庭科、技術・家庭科、特別活動においても、食育に関する記述がなされたことは、学校給食を通して食育を推進するための、具体化に大きく踏み込んだものです。
食の専門家である栄養教諭には、教科科目や学級の担任等と連携し、学校全体で食育を行うだけでなく、家庭や地域とも連携して食育を進めるコーディネー ターとしての役割が期待されています。栄養教諭の教職課程をもつ本学は、附属学校園を含む大学全体で食育を推進していく使命を持っています。
本日はこのような背景で、「学校における食育」について、本学と附属学校園が、これまでに培ってきた「自立した生活者」というキーワードを柱として考え、討論するために、このシンポジウムを開催することにいたしました。

シンポジウム開催に当たり、文部科学省をはじめ、関東一都六県の教育委員会より後援をいただきましたことに、深く感謝いたします。

 

食育シンポジウムの詳細はこちらからご覧いただけます。

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