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国際規格によるFD戦略
お茶の水女子大学
国際規格のFD戦略による講師招聘特別授業 一覧へ

クレア・チュレン=ソーランダー教授(オタワ大学)
”Introduction to International Relations: The View from Canada”
主催: お茶の水女子大学教育開発センター
共催: お茶の水女子大学ジェンダー研究センター
お茶の水女子大学グローバルCOEプログラム  
「格差センシティブな人間発達科学の創成」
日本カナダ学会
 2009年6月19日、カナダのオタワ大学から、ユニークな国際関係理論研究で知られるクレア・チュレン=ソ−ランダー教授を講師に招き、公開の講演会が行われた。ソーランダー教授は、批判理論に基づいた国際関係理論研究のほか、国際政治とジェンダー、カナダの外交政策、グローバル化などの研究でも多くの業績がある。今回の講演では、カナダの国際関係を論じることで国際関係への斬新な見方が提示された。講演には日本語の抄訳がつけられ、多くの学部生や院生が出席した。
 ソーランダー教授の主張を要約すると、以下のようになる。
 カナダは何より、隣国アメリカとの歴然としたパワーの差という現実に立たなければならない。だが、国際関係においてパワーが重要であることは認識しながらも、カナダからの視点からすれば、カナダを含む中級国家が国際関係で重要な貢献をなしうる。まず、冷戦期には米ソに挟まれた地政学上の位置にあって、緊張を緩和する役割の余地がある。また、英仏との同盟関係を持つことで、英仏の旧植民地諸国とのネットワークを作るきっかけを持った。さらに、1930年代の世界恐慌の経験から、世界貿易の再建を求めることいなった。ここで問題となるのは世界システムでどうやって重要なアクターとして参加を実現するかである。これに対し、カナダは機能主義を採用し、自由主義的国際主義の原則にたってミドル・パワーとして地歩を築く道を選んだ。これはカナダが紛争の平和的解決にコミットすることを意味し、同時に米国との関係への対抗バランスを作ることにもなる。自由主義的国際主義は、政策としては、平和維持、人道援助や開発援助、多くの国際機関への参加をもたらした。こうしてミドル・パワーと自由主義的国際主義はカナダ的なアイデンティティの中核となった。もちろん、資源の限界もあるし、偽善だとのそしりもあるが、それでも、強制を求めるようなハード・パワーだけではなく、誘因を与えるようなソフト・パワーも国際関係で重要だという点を忘れすべきではない。古典的な権力政治とは異なる世界について構想するとき、カナダは示唆を与えるだろう。
こうした議論を、ソーランダー教授は、手振り身振りを交えつつ、ときにはユーモアをちりばめながら、実に熱心に行った。講演の後、フロアとの活発な質疑応答が行われ、カナダ国内の意見の違い、日本の外交役割、私たち自身が引き受けるべき国際的責務などについて、掘り下げた議論がなされた。総じて、きわめて有意義なイベントであった。










受講風景 ↓

↓ 学生の質問に答える、
 ソーランダー教授(左)と申准教授(右)
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