幼児教育分野における国際協力

幼児教育に関する知見と経験の集約化および実用化

 本学では、平成15年度から17年度まで、「初等中等教育分野の協力強化のための拠点システム」構築事業において、「幼児教育に関する情報収集と幼児教育モデルの提案」を行ってきた。本事業では主に、幼児教育に関する資料収集とデータベースの作成、日本および欧米の幼児教育モデルの整理、幼児教育ハンドブックの作成およびその英文化、『日本の就学前教育の歴史』の作成およびその英文化などに取り組んできた。また、アジアの一部の地域における幼児教育の実態および支援の現状に関する聞き取り調査も実施してきた。今後も引き続き、本学が中心となって幼児教育の知見・経験の交換を目的としたネットワークの基盤形成を目指す予定である。さらに、世界銀行、UNICEF、UNESCOなどの国際協力機関やJICA、NGOと連携をいっそう強め、国際協力の現場の視点と大学という研究教育機関の視点を交えた、幼児教育分野における国際協力の課題ならびに中長期的な戦略について検討していく。

ECD関係者の研修

 本学では、過去4回、開発途上国の幼児教育担当行政官、教員養成大学学長、現職教員を対象に幼児教育の研修を実施したほか、現地でもワークショップを開催した。また、平成18年度は、JICAの委託事業「中西部アフリカ幼児教育研修」において、アフリカ5カ国15名を3週間受け入れ、本学教官によるECDの講義、付属校での視察を中心としたプログラムを提供している。このように、明治維新後の短期間で高水準の幼児教育を展開させた日本の幼児教育の特徴(行財政システム、人材育成、カリキュラム開発、子ども観、発達観など)やその過程から得られた様々な教訓を、各国の幼児教育関係者と共有することで、それぞれの実態とニーズに応じながらも自国の人材や知的資源を最大限活用した独自の幼児教育が開発されることを支援していく。

協力隊サポート事業

 幼児教育分野での国際協力の拡充は、近年国際的にも大きな課題となっているため、本学は、国内の幼児教育関係者に対してその広報活動を行うとともに、青年海外協力隊派遣現職教員の現地での活動に関する情報提供等の支援を行う。例えば、派遣前は、現地情報の提供や国際機関の援助動向や活動に必要なツールの翻訳紹介、助言などを行い、派遣中は活動状況に応じた助言をし、質問に答える、また、派遣後は活動で得た経験が広く途上国支援に生かせるように整理し、幼児教育の国際協力の質的向上を目指す。