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国際規格によるFD戦略
お茶の水女子大学
お茶の水女子大学FD - ウェッブサイト開設にあたって -
お茶の水女子大学 副学長(平成19-20年度):三浦徹
 小中高で教員として教えるためには、教職免許を取得していることが必要である。他方、大学で教えるにはこのような免許はなく、教員としての採用や非常勤講師としての資格審査では、もっぱら研究業績が審査される。しかし、大学で学ぶ学生は、専門家ではない。学生の知識や関心を呼び起こし、上手にナビゲートする必要がある。
 かつて大学の授業といえば、教員が教卓に座って語り続け、学生は必死にノートをとった。エスケープした学生は、ノート作りの上手な学生からノートを借りて筆写した。
 お茶大では、教員の自発性を重んじたFDを重視してきた。FDが「授業の内容および方法の改善のための組織的な研修および研究」と定義され(大学設置基準等)、大学の義務とされたのに伴い、FDといえば「やらされる」という印象を与えがちであるが、むしろFDは教員自身が授業や教育を楽しむためのものであるべきだろう。お茶大では「学生による授業評価アンケート」は平成13年度から導入したが、教員が自分自身の授業を改善するためのアンケートと位置づけた。学生が、授業の進度や難易度、あるいは到達度や満足度についてどのように感じているかを数量的に把握できることはありがたい。また、辛口甘口のコメントも聞くことができ、つぎの学期には「こうしてみよう」という気になる。さらに、この授業評価アンケートで評価の高かった教員に、「FDエッセイ」やシンポジウムでの報告を依頼した。FDエッセイを読むと、教員がさまざまな工夫をして授業を楽しんでいる様子が目に浮かぶ。
 平成20年度から、新しい教養教育として「文理融合リベラルアーツ」科目群を開始した。文理にまたがるテーマにそって講義10科目と演習・実習・実験を組み合わせた科目群である(ウェッブサイト   参照)。このプログラムを立ち上げる検討会では、「文理にまたがるテーマを、しかも文系理系の予備知識が違う学生を相手に、専門課程の教員がはたして授業ができるのか」「まず教員自身の教育、すなわちFDが必要ではないか」という議論がでた。教員自身は、自分が学んだ大学や大学院での授業をひな形に授業を行ってきた。「文理融合」のリベラルアーツなどというどこの大学でもやっていないことをやるには、カリキュラムだけでなく授業方法の開発が必要となる。また、系列科目群であるがゆえに、担当教員同士がお互いの授業のねらいや内容を相互に理解していないと、学生にとっては、バラバラな知識に止まってしまう。この科目群と開設とともに、FDシンポジウムを定期的に開催することになったのは必然であった。すでに、文系理系の教員がひとつの授業を担当するという試みも生まれている。
 文理融合LAと同時に、「国際規格のFD戦略」(特別教育研究経費)がスタートしたのも同じ趣旨である。FDには教員の相互研修という意味があるが、だからといって大学内に閉じこもるのではなく国外へ目を開き、教職員の海外派遣研修、海外大学のカリキュラムの現地調査を行うとともに、海外から教員を招聘して英語での授業を実施し、教員が授業方法を実地に学ぶという試みも行った。確かにベストレクチャー賞を受賞した招聘教員の授業は、内容が練られ、学生のリードも巧みである。しかしそれ以上に、FD講演を聞くと、彼らが大学教育自体に熱意とポリシーをもっていること、それが個々の授業実践を支えていることがわかる。
 FDは狭義の授業方法の改善にとどまらない。教育カリキュラムを検討することや大学の行く末を議論することも、じつはFDにつながっている。日常の授業実践と大学教育の理念とをつなぐ橋がFDなのである。
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