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全学教育システム改革推進本部

多様な学生同士の関わりから自分と社会のコンフリクトを知る

加賀美 常美代(人間文化創成科学研究科研究院 基幹部門 文化科学系 准教授)

 2006年度後期の「比較日本社会論(日本事情ⅢB)」の授業では、全学の学生を対象に、留学生と日本人学生の交流を取り入れ、学生主体の参加型授業、協働的グループ活動と討論、共同課題プロジェクトを行うような授業形態をとりました。

 この授業では、グローバル社会の「コンフリクト」というテーマを扱いました。最初から国際社会というマクロレベルのコンフリクトを扱うと、どうしても抽象的で他人事になってしまいます。また、マイノリティの人々と同じ目線で当事者意識を持たないと、国際社会に生きている「今、そこにいる人々」を理解し、その人たちの気持ちを共有することができません。そこで、この授業では、自分の身の回りで体験したコンフリクトや社会で起きた出来事からコンフリクトのメカニズムを理解してもらうように努めました。この一見扱いにくいテーマをいかにわかりやすく、抵抗なく、文化的背景の異なる学生同士がステレオタイプに陥らずに理解してもらうかということを、授業の中では常に意識し、学生たちに対して配慮してきました。そのためには、コンフリクトは日常生活の中にごく普通に存在することを知り、自分が今までに、どういうコミュニケーション・スタイルで、他者と関ってきたかに気づいてもらうように授業を進めました。

 授業では、自分と他者、自分と文化、とりまく社会との関係性を考えながら、「自分を知ること」が重要だと考えますので、コミュニケーション・スタイルを測定するスケールを使用し、自分のありようを知ってもらいます。また、日常的に社会で起こるコンフリクトなど身近な自分の経験した事例の詳細を記述してもらうことで、双方の期待がどのようなものであり、それがどのように不一致なのか、分析することで問題を明確にすることを目指しています。次に、グループで検討することで、文化的差異や個人差などの多様性を実感してもらうとともに、グループでの協働活動や討論を通して問題解決のあり方を検討してもらう形式をとっています。

 また、コンフリクトの背後にある自他の価値観、家族や学校、社会などのルールや規範に気づいてもらい、いかに自分がそれに影響されているかを知ることも重要だと思っています。こうした、個人の問題から、集団(たとえば、教師と学生やジェンダー)や文化(多様な文化的価値観の異同)、社会(環境問題や人口問題)へと視点が広がるように、授業トピックを移行していく方法をとっています。

 学生たちのコメントでは、「ほかの関連授業が全体から国際社会を見た感じであるのに対し、この留学生と日本人学生との交流型授業は、個人から国際社会へ広げて全体を見た感じ」とこの授業を評しています。留学生と日本人学生の共同で織り成すこの授業は、学生の多様な意見や思いもつかない視点や見解、積極的に自分を主張していくスタイルが許容される授業形態に支えられています。授業中、「いいえ、私はそう思いません」と真正面から言ったことがない学生たちにとって、自分の意見を自由に言える場になっているのかもしれません。教員はどうかというと、自分のメッセージをさりげなく伝え、多様な学生同士の討論に耳を傾け、学生が笑顔で語り合う様子を楽しんでいます。

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