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林原フォーラム2009 "よみがえり"の哲学
—プロが語る「生命体」と「芸術作品」の修復・再生—
を開催しました。(9/5)

9月5日(土)に、お茶の水女子大学、社団法人林原共済会、学校法人高梁学園吉備国際大学と連携した公開フォーラム "よみがえり"の哲学 —プロが語る「生命体」と「芸術作品」の修復・再生— を開催しました。
 フォーラム当日は好天に恵まれ、残暑厳しい一日となりましたが、本学の歴史資料館所蔵の貴重な資料や本講演会のテーマでもある「木戸孝允肖像画」をひと目見ようと、開場前から多くの方がご来学されました。遠方からの参加者も多く、開演時間が迫るにつれ受付周辺は一段とにぎやかになり、約200名の参加者が徽音堂に集まりました。
 本講演会では、テーマに基づいた各分野の最先端を極めた先生方4名をお招きし、講演1から4として「細胞再生」と「美術品修復」に対するそれぞれの想い—哲学—をお話しいただきました。

開会にあたり、和田昭允先生(東京大学名誉教授/林原フォーラム顧問委員/高梁学園吉備国際大学理事)より開会挨拶をいただきました。「知の発展パターン」という人の「知」のしくみを、スライドをもとに大変分かりやすくご説明くださいました。
 和田先生の開会挨拶の後、講演1として浅島誠先生((独)産業技術総合研究所フェロー兼ラボ長/東京大学名誉教授)からは「生物の驚くべき再生力」を、講演2としてハインツ アルトへーファー先生(ドイツ デュッセルドルフ市立修復研究所元所長)からは「美術作品修復の哲学」をご講演いただきました。生き物の再生力を芸術品ととらえた浅島先生のご講演、美術作品の修復と倫理・道徳という哲学との関係性を語られたアルトへーファー先生のご講演に、参加者もスライドを熱心に見つめ聞き入る様子が見られました。

講演3として西川伸一先生((独)理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター副センター長)は「身体(からだ)の考古学」というテーマにおいて哲学と科学の相違を示され、生物学の新しい可能性を示唆されました。講演4として大原秀之先生と馬場秀雄先生(吉備国際大学大学院文化財保存修復学研究科教授)のお二方には「西洋美術・東洋美術−文化財修復への想い」をご講演いただきました。「木戸孝允肖像画」の修復当初の先生方の迷いや、文化財に対する思いが会場全体に伝わり、参加者はみな真剣に耳を傾けていました。
 質疑応答では、「美術品に関する大学教育の方向性」と「生物に対する倫理観について」が参加者から挙げられ、各分野の先生方から丁寧なご回答をいただきました。
 羽入学長による閉会挨拶では、本講演会開催という貴重な機会に対する謝意が述べられ、本フォーラムを無事に閉会することができました。
 講演会閉会後も、参加者の多くが歴史資料館に足を運び、吉備国際大学の先生方のご講演を思い起こしながら「木戸孝允肖像画」を見学していました。

アンケートの一部をご紹介します。
  • 大変意味のあるテーマで "これから" のことが楽しみです。ありがとうございました。
  • 美術を仕事にしているので、生命については分野が異なり難しいと思いましたが、とても面白い話でした。
  • 知らなかった世界がわかり大変勉強になり、これからももっと知りたいと思います。
  • 修復といってもその範囲は広く分野も様々ですが、私も修復士を目指す一人として専門分野を持つ各々の先生方のお話は直接的で興味がわくものでした。
  • 初めて来ましたが、都心に一般にも開かれた場があることを知り、また参加したいと思いました。

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