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文教育学部 2009年度 第1回FD企画を開催しました。

7月14日 16時40分〜18時30分 文教育学部1号館 第1会議室 参加者11名

 7月14日に文教育学部の2009年度 第1回FD企画を開催しました。これまで本学部のFDでは授業参観を実施してきましたが、教育の現場においても人間関係の問題が注目されるようになってきた昨今の状況から、今回のFD企画では授業改善にとどまらず、現代の学生が直面している様々な課題を理解し、さらに教員と学生とのより良い人間関係の構築について考えるための研究会を企画しました。当日は、まず本学部人間社会科学科教育科学コースの三輪建二教授から「大学教員のFD 講義法から人間関係能力へ」と題する基調講演をいただき、その後、参加者による意見交換が行われました。

 三輪教授の講演は、生涯学習の研究者・実践者、さらに本学附属中学校の校長やセクシャルハラスメント等人権侵害委員会委員を歴任した経験に基づくものであり、現代の学生が抱える問題の中でも「心の病」が広がりをみせていること、また大学院の門戸が広く開放されたことにより受け入れがはじまった社会人大学院生には、その人生経験等に注意を払った教育的対応が必要とされることを、自身の研究成果や他大学での取組みを紹介しながらわかりやすく解説し、まずは学生のこうした変化を知ることが大切であると指摘されました。そして、このことを念頭においた今後のFDの取組みとして、①教員を対象とする教育に関するアンケート調査の実施、②公開授業参観の方法の改良、③省察的実践者としての教師になるために内省過程を重視すること、④成人教育者という自覚を持つこと、⑤大学教員も人間関係能力・コミュニケーション能力の向上を図ること、の5点を提案されました。

 参加者による意見交換においては、本学でも学生は多様化(進学目的や年齢層、気質、学力のばらつき、健康状態等)しているとみられ、その一方で小規模大学ゆえに学生が指導教員を選ぶ際の選択肢は狭いという状況があるため、教員は学生との人間関係の構築において大なり小なりの悩みを抱えており、良好な関係を構築するために様々な工夫がなされていることがわかりました。その中で、教員の本分である授業や研究指導を通じた専門的知識や方法論の伝達にとどまらず、インフォーマルな場でのコミュニケーションや、直接的には教育にかかわらないコミュニケーションの重要性が高まってきているとの意見が多く聞かれましたが、他方で教員にも個々に性格や教育方針に違いがあることや、学生が教員に対してどの様なコミュニケーションを求めているのかがわからない、フォーマルとインフォーマルの線引きが難しいなどの意見もありました。また、学生のメンタルケアに関しては、不調をきたした学生の対応経験がある教員から、今後、FDの一環として専門家を招いて講習会を開催したり、大学に対して支援の拡大を求める必要があるとの意見が出され、その重要性を参加者全員で確認しました。

 今回のFD企画は、参加者が少なかったことは残念でしたが、内容の濃い意見交換ができ、教員同士が日頃から抱えている悩みを打ち明けて共有することのできる場を得ることができました。大学教員の人間関係能力・コミュニケーション能力の向上には、手始めに教員同士のコミュニケーションの充実が必要であることを実感させられた研究会でした。

文教育学部FD委員会

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