国立大学法人お茶の水女子大学の中期目標期間に係る業務の実績に関する評価結果について
お茶の水女子大学は、平成21年3月26日に国立大学法人評価委員会が公表した中期目標期間に係る計画の達成状況に関し高い評価を得ました。すなわち、本学が該当する評価対象7項目のうち、
「非常に優れている」(5段階中最上位) 3項目 (研究、社会連携・国際交流、業務運営)
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「良好」(5段階中2番目) 3項目(教育、財務、自己点検・評価・情報提供)
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「おおむね良好」(5段階中3番目) 1項目(その他業務運営)
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となっています。
これらの評定は、各法人の中期目標・中期計画に則して行うものですが、下記の表のとおり、全国の国立大学法人のなかでも、特筆すべき評価にあるといえます。
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教育 |
研究 |
社会連携・ 国際交流 |
業務運営 |
財務内容 |
自己点検・評価・ 情報提供 |
その他業務運営 |
非常に優れている |
1法人
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3法人
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2法人
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11法人
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3法人
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2法人
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2法人
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良好 |
10法人
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27法人
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34法人
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56法人
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83法人
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84法人
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75法人
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おおむね良好 |
79法人
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60法人
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54法人
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18法人
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1法人
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2法人
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11法人
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不十分 |
0
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0
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0
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5法人
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3法人
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2法人
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2法人
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重大な改善事項あり |
0
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0
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0
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0
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0
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0
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0
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『日刊工業新聞』(平成21年3月27日朝刊)では「お茶大が健闘」と本学の名を挙げ、また、「非常に優れている」との評価項目をえた大学名を掲載しています。
お茶大:
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3項目
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東工大:
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2項目
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その他の15大学:
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1項目
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情報・システム研究機構:
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2項目
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高エネルギー加速器研究機構:
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1項目
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また、『朝日新聞』(平成21年3月30日朝刊)には、「国立大学の中期目標達成状況の評価」一覧が掲載されています。
本学が高い評価をえられた理由は、
A.中期目標・計画が適切且つユニークであったこと
B.目標を達成するために学長が強いリーダーシップを発揮したこと
C.その結果、全学を挙げて目標に向かって取り組みを行ったこと
D.目標達成のための改革を速いスピードで行ったこと
にあると考えられる。
以下、本学の中期目標の中で、達成が高く評価された項目を標語的に列記します。
1 全体評価
- 「21 世紀型お茶の水女子大学モデル」の構築
- 「文理融合21 世紀リベラルアーツ」のカリキュラム設計
- 豊かな見識と専門的知性を備えた女性リーダーの育成
- 大学院改組による前期・後期課程の一貫した教育プログラムの導入
- 学部・大学院が一体となった教育運営の実施
- 獲得した各種競争的資金による若手教員への研究支援の強化
- 外国人教員の招聘の実施
- 女性教員を支援するための常勤の特別研究員制度の発足による女性研究者の雇用の促進
- 幼児教育や理科教育等の社会的ニーズの強い分野において、多くの社会人・現職教員の再教育事業によるキャリアアップに貢献
- 五女子大学コンソーシアムにおける女子大学の伝統と蓄積を活用した途上国支援の推進
- 教員ならびに事務職員について個人評価を実施し、評価結果を給与に反映
- 外部資金の申請及び獲得に対するインセンティブ経費の制度化
- 学長主導の外部資金獲得のためのプロジェクトチームの設置
- 科学研究費補助金、受託研究、共同研究といった外部資金が着実に増加
2 項目別評価
Ⅰ.教育研究等の質の向上の状況
(Ⅰ)教育に関する目標
- 「魅力ある大学院教育」イニシアティブに採択
大学院博士前期・後期課程の一貫指導体制や学際領域の副専攻制度を導入
大学院改組により前期・後期課程の一貫した教育プログラムと学部・大学院が一体となった教育運営
- 今後5年間の大学戦略に基づいた人員配置
専任教員の「研究院」への一元的所属
「教員活動状況データベース」の開発
学長手持ちポストの設定等を行ったことは、先進的な取組
- IT 機器を配置した教室等の機器整備と開放
図書館でのラーニング・コモンズの開放
新入生全員へのノートパソコン1年間貸与
- 専任教員(大学院担当者)をすべて新大学院「人間文化創成科学研究科」の「研究院」に一元的に所属
学部・大学院間及び大学院専攻科間の連携の強化
- 「女性のライフスタイル(妊娠・出産・介護等)に即応した多様な研究形態を確立
「いずみナーサリー」の開設、育児支援奨学金、授業料免除等多様な研究支援
お茶の水女子大学の役割・理念と符合している点で、特色ある取組
- 高大連携7年間特別教育プログラムにおける大学・高等学校教員間の連携
高大連携という特筆に値する先駆的取組
- 異文化理解プログラム「日韓大学生交流セミナー」、ヴァッサー大学(米国)との留学生共同授業
- 女性のライフスタイルを見通したキャリア形成や就学支援
(Ⅱ)研究に関する目標
- 21世紀COE プログラムに2件、グローバルCOE プログラムに1件が採択
科学技術振興調整費による若手教員育成事業が採択
「魅力ある大学院教育」イニシアティブによる3件のプログラムが採択
特別教育研究経費や現代的教育ニーズ取組支援プログラム等の数多くの競争的資金を獲得
- 五女子大学コンソーシアム(津田塾大学、東京女子大学、奈良女子大学、日本女子大学、お茶の水女子大学)により毎年アフガニスタンから多くの女性教員が研修に来日
社会人教育・教育職員の再教育活動でのセミナー・研修・講座とその参加者が年々の増加
- 各種任期付教員の採用と研究・教育拠点への戦略的配置が実現
- 21 世紀COE プログラム、グローバルCOE プログラム、「魅力ある大学院教育」イニシアティブ等の競争的資金を獲得
- 女性教員を支援するために常勤の特別研究員制度を独自に発足させ、多数の研究者を雇用
- 全教員が単年度ごとの活動報告を提出
3年目終了時での学外評価委員による評価を実施し、その結果をフィードバック
- 実績が蓄積された分野の研究を精力的に推進
お茶の水女子大学で特色となりうる新たな研究領域を開拓
- 女性教員や女性リーダーの育成に女性のライフスタイルを考慮した様々な支援体制により、研究費の支援、研究補助者の配置、日常業務の軽減、保育所の整備、9時?17時勤務体制等を構築
(Ⅲ)その他の目標
(1)社会との連携、国際交流等に関する目標
- 幼児教育や理科教育等の社会的ニーズの高い分野において、多くの社会人・現職教員の再教育事業によるキャリアアップに貢献
- 交流協定校の拡大を図り、海外の協定校との連携の緊密化
教員・学生による相互の積極的な交流を行い、共同授業を実践
- 「途上国女子教育支援を強化充実する」について、五女子大学コンソーシアム(津田塾大学、東京女子大学、奈良女子大学、日本女子大学、お茶の水女子大学)において、女子大学の伝統と蓄積を活用した途上国支援を推進
開発途上国への教育支援・留学生支援においては先駆的取組を多様に実践
(2)附属学校に関する目標
- 大学の教育研究のための実験機関としての性格を明確化
公教育の実施困難な教育課題に関し先導的な実践研究を遂行その成果を公教育等に還元
大学の教職課程に係る教育実習の大部分を附属学校園が受け入れ
女性の能力開発を目的とした高大連携教育プログラムを実施
- 高大連携教育プログラムを実施
- 国際協力機構(JICA)の委託によるアフガニスタン女性教員研修
附属学校の協力を得て、講義・授業参観・附属学校教員との意見交換、生徒との交流
Ⅱ.業務運営・財務内容等の状況
(1)業務運営の改善及び効率化に関する目標
- 教員については、「教員個人評価及び給与査定に関する実施基準」に基づき、教育、研究、社会貢献、大学運営・経営の活動を点数化し、個人評価を実施
事務職員は、「事務職員等の人事評価に関する実施基準」に基づき個人評価を実施
評価結果を給与に反映
- 「研究の拠点化と新たな教養教育の構築」を行うため、「21 世紀型お茶の水女子大学モデル」を構築し、「文理融合21 世紀リベラルアーツ」のカリキュラム設計
ファカルティ・ディベロップメント(FD)、学部及び大学院の教育改革等を推進
- 事務組織の改革として「チーム制」を導入し、各チームを各機構長の下に配置し、機構長を中心とする室、チーム体制を構築
- 大学の方針・戦略を実現すべく、教員の欠員ポストはすべて学長手持ち
全学的・戦略的な観点から学長の主導の下に配置する「ターゲット型採用」
後任補充のポストについては全学的・戦略的観点から役員会の審議を経て行う
- 企画経営統括本部において、「業務改善アイデアコンテスト」を企画し、実行
各チームが改善すべき業務を「業務改善アクションプラン2007」として明確化
- 女性教員の採用を促進するため、学位・業績・能力等が均等の場合女性教員を優先
女性教員に適合した雇用環境モデルとして9時?5時勤務が可能な体制作りの実施
(2)財務内容の改善に関する目標
- 外部資金の申請及び獲得に対するインセンティブ経費の制度化
学長主導の外部資金獲得のためのプロジェクトチームの設置
外部資金比率は10.9 %(対平成16 年度比5.3 %の増)
外部資金獲得の努力が成果
- 「共通機器センター」を発足させ、大型・共同利用機器の一括管理
同センターにおいて集中的な機器の管理・運用
- 外部委託の実施、図書の定期購読の見直し、パソコン管理経費の一元化
暖房設備や照明器具等の省エネルギー機器への更新、建物の断熱化、全学夏季一斉休業の実施
- 過去3か年のキャッシュフロー及び各期末残高の分析、資金運用方針案・運用計画案の検討
- 中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減
(3)自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標
- 総合評価室を設置
評価結果の教職員の配置、学部学科、大学院専攻の体制整備等への反映
- 教育、研究、社会貢献、大学運営・経営への貢献にかかる活動状況を収集するための「教員活動状況データベース」を構築
全学評価、部局別評価、個人評価の基礎データに活用するとともに、教育研究体制や人員配置の見直し等へのデータのフィードバック
- 社会に対するアカウンタビリティを果たす観点から、全教員の教育研究活動に係る報告書として「Annual Report」を刊行
(4)その他業務運営に関する重要目標
- 全学施設の有効活用のためのグランドデザインを設定し、施設スペースを学長の下に集約
全学的視野からのスペースの有効活用を可能とするとともに、外部資金獲得による事業拠点のスペースを再配分するため集約
- 教育研究環境と学生支援施設の充実のため、大学食堂のスペース拡充のための増築
学生の自己開発・就職活動の支援スペース(キャリアカフェ)の整備
学生及び卒業生等が利用できる茶室の整備
- 災害時の対応として、平日・夜間・休日に教職員が取るべき行動を項目別(防犯、防火、地震、安否確認)にフロー化した「危機管理マニュアル」を作成
通報連絡体制の再構築や感染症の発症拡大の防止のための全学的連絡体制の確立