News&Info

お茶の水女子大学で第1回文理融合リベラルアーツFD公開シンポジウムを開催

 お茶の水女子大学では、「文理融合21世紀型リベラルアーツの創成」事業(特別教育研究経費、20年度は政策対応経費)に平成19年度から取り組んでいます。当該事業は、従来の教養教育を改革し、「生命と環境」「色・音・香」「生活世界の安全保障」「ことばと世界」「ジェンダー」など、文系理系にまたがる五つの身近なテーマにそった系列科目群を構成することで、学生に多面的な学びのきっかけを提供することをめざしています。
 平成20年度はそのうち三つの系列からなる「文理融合リベラルアーツ科目群」を新設し、前期授業を開始しました。今回、「リベラルアーツとFD(組織的な教育力向上)」を主題とする公開シンポジウムを開催した理由は、異なる分野の学生を対象とするリベラルアーツこそFDが必要だからであり、前期授業での問題点や成果を後期の授業設計に活かすため、9月17日(水)14時から約三時間にわたって開催し、教職員、学外関係者など60名余りが参加した。
 当日は、第一部として寺﨑昌男立教学院本部調査役(東京大学名誉教授)が「学士課程教育のカリキュラムと方法 −迫られている課題との関連のもとで−」と題する講演を行い、中教審大学分科会の答申を踏まえながら各大学や教員がカリキュラムや授業の設計に独自性を打ち出していく必要を語りました。
 第二部は、文理融合リベラルアーツ科目を担当した4名の教員がパネリストとなり、系列科目として授業計画をたてた際の工夫や学生の反応などを報告し討議を行いました。具体的には、「文化と環境」科目では文化人類学の手法を基礎に人間と環境の関係を文理双方から投射する構成をとったこと、「宗教と色・音・香」科目では映像資料の導入を図ったが既存の資料には視点に偏りがあることをあらためて気づかされたこと、「ゲノム時代の健康管理」科目では質問やアンケートのフィードバックを通して文系理系の学生の履修と交流が図れたこと、「おいしさのサイエンス」科目では調理実験を通して、おいしさの背景にある科学的原理に気づかせたことなどが報告されました。
 全体討議では、文理融合には異なる分野の教員が一つの授業を担当し議論しながら作り上げてゆく方式が有効ではないか、リベラルアーツは各ディシプリンの基礎にあるメタを掘り起こすことにあり、一般教育は一つの課題の多面的な理解を目指すという方向性の違いがあること、などが指摘されました。

 当該事業の詳しい情報は、お茶大ウェッブサイト「文理融合21世紀型リベラルアーツの創成」に掲載されています。
  「文理融合21世紀型リベラルアーツの創成」HP

シンポジウムの様子 シンポジウムの様子

国立大学法人お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1

責任者:お茶の水女子大学ホームページ運営委員会委員長 

E-mail: