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耳塚寛明教授の研究調査結果、NHKテレビニュースで紹介
(子どもの学力と家庭所得の相関性)

 10月7日土曜日の午後7時のNHKニュースで、本学文教育学部の耳塚寛明教授の研究調査結果が紹介されました。
 耳塚教授の研究調査は、子どもの学力と家庭所得の相関性の有無を、首都圏にある人口およそ25万人の市に住む小学6年生およそ1200人と、その保護者を対象におこなったものです。算数の学力テストの結果については、保護者の年収が高くなるにつれて点数が高くなるという結果が、また家庭での子どもの学習時間については、保護者の年収が高くなるほど学習時間が長くなるという結果が出ました(下記参照)。
 子どもの学力と家庭環境の関連をめぐっては、従来より保護者の学歴については調査がなされてきましたが、所得との関連性を幅広く調査したのはこれが初めてです。耳塚教授は「漠然と指摘されてはいたが、データのうえでも、家庭の経済力による学力の格差が表れた。格差を埋めるために学校で十分な指導がなされるように、財政的支援が必要である」と、番組のなかで提言されています。
 なおこれは、お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「誕生から死までの人間発達科学」(拠点リーダー: 内田伸子教授)の一環として実施された JELS 2003 (Japan Education Longitudinal Study 2003)の調査結果であり、調査の実施に当たっては、本学大学院人間文化研究科の博士後期課程に在籍するリサーチ・アシスタントが協力しています。耳塚教授は本研究調査の結果を、9月末の日本教育社会学会でも報告されました。

 また耳塚教授は、現在大きな問題となっている高等学校の「必修科目はずし」について、朝日新聞や読売新聞(同紙とも10月26日朝刊)などで、受験特化の指導が背景にあることを指摘し、バランスを欠いた学力しか身につけていない生徒が増えることに憂慮の念を表明されています。

NHKニュースで報道された調査結果
(1)算数の学力テスト(100点満点)の結果と保護者の年収
年収500万円未満の家庭の子どもの平均点: 42点
年収500万円〜700万円未満では: 43点
年収700万円〜1000万円未満では: 54点
年収1000万円以上では: 66点

(2)家庭での学習時間と保護者の年収
年収500万円未満の家庭の子どもの学習時間
30分以内: 67%
1時間〜1時間半: 23%
2時間以上: 10%
年収1000万円以上の家庭の子どもの学習時間
30分以内: 24%
1時間〜1時間半: 39%
2時間以上: 37%

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