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 本学卒業生思い出の味、といえば、なんといっても「ときわじるこ」でしょう。徽音祭の折りに、食物栄養学科の学生さんたちによって供される、あの薄翠色も美しい、上品な味わいの「ときわじるこ」を、誰でも一度は味わったことがあるのでは?

 徽音祭でお客さまに供されるまでには、食物栄養学科の学生さんたちの血のにじむような(?)努力があるんですよ。ご存知でしたか? 調理は1年生と2年生が担当していますが、2年生が代々伝わる「ときわじるこ」の秘伝を1年生に伝授していきます。先輩のOKがでるまで、何度も試作を重ね、本番に臨みます。試作品は調理研に持って行き、調理学の先生方や先輩たちの厳しいチェックを受けるのですが、抹茶の量や甘さの加減など、微調整が繰り返され、「OK」の太鼓判とともにやっとお客さまに出されるのです。お茶大食物栄養学科の誇りここにあり、という感じですね。昔は裏ごし、今は餡ねりがとても大変で、卒業後はみんなの共通の思い出となるそうです。こだわりの京都の漬け物、そしてほうじ茶という組み合わせも、長く受け継がれる伝統の味です。

 この「ときわじるこ」、実はとても長い歴史を持つものなのです。「食物の1回生の方が、3年の時に学園祭で何か催しをしようということで、食物学科なので食べ物をと考えて始めたものだそうです。昭和26年秋の学園祭が最初と言いますから、50年以上続いているんですね」とは、久保田紀久枝先生の談。といってもその頃はまだ終戦まもない頃、材料といってもサツマイモしかなく、それもあまり美味しくない白サツマイモだったので、においをカバーするためにお抹茶を入れたのが始まりとか。当時はとにかく裏ごしが大変で、お汁粉を作ったあとは裏ごし器の網がのびてしまって、先生方がとてもお嘆きであったそう。この頃の裏ごし器は、馬のしっぽの毛でできていたんだそうですよ。

 「ときわじるこ」の名前の由来は、挽き茶をまぜて作る「常磐じるこ」によるのでは、と言われていますが、レシピは本学独自の秘伝中の秘伝。サツマイモのかわりに、白あんが使われるようになったのが昭和45、6年。材料の分量や餡練りの仕方など、レシピは代々引き継がれていますが、なぜか抹茶だけは「適量」となっているため、毎年微妙に色合いが異なるそうです。渦巻き状に加えるときもありましたが、現在は均一にまぜられています。あの美しい薄翠色は、そのときどきの学生さんたちの思いがこもったものなのですね。

 今年は徽音祭に先立ち、5月31日(土)に開催される第2回「ホームカミングディ」にて「ときわじるこ」が供されます。卒業生のみなさま、あの懐かしい伝統の味、そして今年の学生さんたちの思いのこもった味を、どうぞご堪能ください。

 (取材にご協力くださった久保田紀久枝先生、また久保田先生を通じて情報をお寄せくださった卒業生のみなさま、どうもありがとうございました。)


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