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 例年ですと、後期開始前の9月は静かなお茶大ですが、今年は時ならぬ騒音に包まれています。文教育学部一号館が耐震工事中なのです。文教育学部一号館は、昭和40年代の建設と聞いています。単純に計算しても、はや40年以上を経過していることになります。耐震工事が必要になるのもむべなるかな、といったところでしょう。

 ところで、ご存じのように、本学の前身・東京女子高等師範学校は、明治8年の開学以来、御茶の水の地にあり、生徒たちは「お茶の水の女学生」と呼ばれ親しまれていました。しかし、大正12年9月1日、関東大震災に見舞われ、校舎を焼失してしまいます。そのため、現在の大塚の地に移転されました。

 この時の様子は、『櫻蔭会史』(昭和15年刊行)に詳しく記述されていますが、とくに「母校の罹災情況」(490〜504頁)と題された一節は、震災時の緊迫を伝えて余りある名文です。迫り来る火の手、強風のために頭上から火の粉が降りかかる。「火が寄宿舎に移つた!」しかし火に包まれながら、校長を初め、教諭・事務職員たちは、学校を守るべく奮闘し、消火に走り回り、それももはやならずと知ると、重要書類や記録を運び出そうと、強い余震のなか、何度も校舎に出入りします。不幸中の幸いは、夏休み中のことで、生徒たちが校内にいなかったことでした。「あゝ!学校も焼けて了つた!と観念しつゝ、末廣町からお成街道へと辿つて行つた一行の心は、どんなであつたらう。」「此の様にして五十年の歴史を持ち、我国女子教育の淵源であった私共の母校は、殆んど一時間余にして全部烏有に帰して了つたのである」。

 関東大震災は、日本の「近代」に大きな構造的変革を与えましたが、本学にとっても校史に残る重大な事件だったのです。ぜひ、『櫻蔭会史』の一読をおすすめしたいと思います。

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