○国立大学法人お茶の水女子大学における研究活動に係る不正行為の防止及び対応に関する規程

平成18年9月14日

制定

目次

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 不正行為を防止するための体制(第4条―第8条)

第3章 不正行為への対応(第9条―第31条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、国立大学法人お茶の水女子大学(以下「本学」という。)における研究活動に係る不正行為を防止するための体制及び不正行為に関する調査手続に関し必要な事項を定めることにより、本学の研究倫理の保持及び向上に資することを目的とする。

(適用範囲)

第2条 研究活動に係る不正行為の防止については、本学の諸規程、国立大学法人お茶の水女子大学研究者等行動規範(以下「行動規範」という。)及びその他関係法令に定めるもののほか、この規程の定めるところによる。

(定義)

第3条 この規程における用語の定義は、次のとおりとする。

(1) 「研究者等」 本学において研究活動に従事する職員(非常勤である者及び研究支援者を含む。)、学生(研究生その他本学において修学する者を含む。)、その他本学の施設及び設備を利用して研究活動を行う者をいう。

(2) 「不正行為」 故意又は研究者等としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことにより、研究の立案、計画、実施、成果の取りまとめ及び成果発表の過程において行った次に掲げる行為をいう。

 捏造 存在しないデータ又は研究・実験結果等を作成する行為

 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ又は研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工する行為

 盗用 他の研究者等のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者等の了解又は適切な表示なく流用する行為

 その他、論文の二重投稿(他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する行為をいう。)、不適切なオーサーシップ(論文著作者を適正に公表せずに論文を投稿する行為をいう。)等、研究活動上の不適切な行為であって、行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの

(3) 「部局」 学長戦略機構、各学部、大学院人間文化創成科学研究科、保健管理センター、基幹研究院、各機構、全学教育システム改革推進本部、国際本部、研究・産学連携本部、グローバル人材育成・男女共同参画推進本部、附属学校本部、各附属学校、保育所、こども園、事務組織及びお茶大アカデミック・プロダクションをいう。

第2章 不正行為を防止するための体制

(責任体制)

第4条 本学に、研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、大学全体を統括し、最終責任を負う者(以下「最高管理責任者」という。)を置き、学長をもって充てる。

2 最高管理責任者は、行動規範を策定・周知し、公正な研究活動を推進するために必要な措置を講じるものとする。

3 本学に、最高管理責任者を補佐し、研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、大学全体を統括する実質的な責任を負い、権限を有する者(以下「研究コンプライアンス統括管理責任者」という。)を置き、研究を担当する副学長をもって充てる。

4 研究コンプライアンス統括管理責任者は、公正な研究活動を推進するために必要な大学全体の具体的対策を講じるとともに、不正行為に関する通報及び調査の処理を統括するとともに、実施状況を最高管理責任者に報告する。

5 部局に、部局における不正行為の防止、研究コンプライアンス、研究倫理に関する教育(以下「研究コンプライアンス・研究倫理教育」という。)に関し、実質的な責任を負い、権限を有する者(以下「研究コンプライアンス推進責任者」という。)を置き、部局の長をもって充てる。ただし、次の表の左欄に掲げる部局にあっては、右欄に掲げる者を研究コンプライアンス推進責任者とする。

部局

研究コンプライアンス推進責任者

学長戦略機構

研究を担当する副学長

基幹研究院

各系長

研究・産学連携本部

研究を担当する副学長

グローバル人材育成・男女共同参画推進本部

男女共同参画を担当する副学長

附属学校本部

附属学校を担当する副学長

各附属学校

附属学校を担当する副学長

保育所

附属学校を担当する副学長

こども園

附属学校を担当する副学長

お茶大アカデミック・プロダクション

研究を担当する副学長

6 研究コンプライアンス推進責任者は、研究コンプライアンス統括管理責任者の指示の下、部局において公正な研究活動を推進するために必要な措置を講じるとともに、部局内の研究活動に関わる全ての研究者等に対し、研究コンプライアンス・研究倫理教育を定期的に行わなければならない。また、受講状況を管理監督するとともに、その状況を研究コンプライアンス統括管理責任者に報告する。

7 研究コンプライアンス推進責任者は、必要に応じて研究コンプライアンス推進副責任者を置くことができる。

8 研究コンプライアンス推進責任者は、前項の研究コンプライアンス推進副責任者を任命した場合、研究コンプライアンス統括管理責任者に報告しなければならない。

(研究不正防止計画推進委員会)

第5条 最高管理責任者の下に、本学の研究不正防止対策を審議するため、国立大学法人お茶の水女子大学研究不正防止計画推進委員会(以下「研究不正防止委員会」という。)を置く。

2 研究不正防止委員会は、次に関する事項を審議する。

(1) 研究不正防止計画(以下「不正防止計画」という。)に関すること。

(2) 研究不正防止対策に係る基本的な方針に関すること。

(4) 国立大学法人お茶の水女子大学研究倫理指針に関すること。

(5) その他研究不正防止対策に関し必要な事項

3 研究不正防止委員会は、次に掲げる委員をもって組織する。

(1) 研究コンプライアンス統括管理責任者

(2) 研究コンプライアンス推進責任者

4 研究不正防止委員会に委員長を置き、研究コンプライアンス統括管理責任者をもって充てる。

(1) 委員長は、研究不正防止委員会を招集し、その議長となる。

(2) 委員長に事故があるときは、委員長が指名した者がその職務を代理する。

5 委員会の成立には、委員の3分の2以上の出席を必要とする。

6 研究不正防止委員会が必要と認めたときは、委員以外の者に出席を求め、意見を聴くことができる。

7 研究不正防止委員会の委員は、任期中及び任期後において、その任務上知り得た秘密を厳守しなければならない。

8 研究不正防止委員会の決定に従い、研究不正防止対策を推進するための事務は、研究・産学連携課が行う。

(研究不正防止計画)

第6条 研究不正防止委員会は、不正防止計画を定め、学内外に周知しなければならない。

2 最高管理責任者は、不正防止計画を着実に実施しなければならない。

3 研究コンプライアンス統括管理責任者は、不正防止計画の実施状況を定期的に研究コンプライアンス推進責任者から報告を受け、実施状況を確認しなければならない。

4 研究コンプライアンス統括管理責任者は、不正防止計画の実施状況を最高管理責任者に報告しなければならない。

5 研究不正防止委員会は、研究コンプライアンス推進責任者からの報告に基づき、定期的に不正防止計画の見直しをしなければならない。

(研究者等の責務)

第7条 研究者等は、高い倫理観を保持し、研究活動上の不正行為を行ってはならず、また、他者による不正行為の防止に努めるものとする。

2 研究者等は、不正行為を防止するため、本学の諸規程、行動規範その他の関係法令を遵守しなければならない。

3 研究者等は、研究に求められる倫理規範を習得するため、第4条第6項に規定する研究コンプライアンス・研究倫理教育を受講しなければならない。

4 研究者等は、第4条第6項に規定する研究コンプライアンス・研究倫理教育の受講の際、不正行為を行わないこと、規則に反して不正行為を行った場合は本学や当該事案に掛かる研究資金配分機関等(以下「研究資金配分機関」という。)からの処分及び法的な責任を負担することを明記した誓約書を提出しなければならない。

5 学長は、前項の誓約書の提出が無い場合は、競争的資金等の申請及び各種研究計画調書等(共同研究、受託研究等)を受理しないものとする。

6 研究者等は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を確保するため、実験・観察ノート、実験データその他の研究資料等、研究に基づき外部に発表する論文及び研究成果を導出するために必要とした各種データ(以下「研究資料等」という。)を適切に保存・管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。

(研究資料等の保存期間)

第8条 研究資料等の保存期間は、原則として、当該研究成果の発表時点から10年間とする。

2 前項の規定にかかわらず、保存する研究資料等の中に、法令等により保存期間が規定されるものがある場合には、当該資料については、その法令等の定める期間に合せて保存期間を定めることとする。ただし、法令等の保存期間が10年未満で期間満了後の即時破棄が明記されていない場合には、前項の期間に準じて保存期間を定めることとする。

3 第1項の規定にかかわらず、外部から研究資料等を受領するにあたり、資料の保存期間に関する契約又は定め等が別途ある場合には、当該契約等で定められた期間に合せて保存期間を定めることとする。

第3章 不正行為への対応

(通報窓口)

第9条 不正行為に関する学内外からの通報、通報の意思を明示しない相談(以下「相談」という。)に関し、適切な対応を行うため、研究・産学連携課に通報窓口を置く。

2 通報窓口では、下記の業務を行う。

(1) 不正行為に関する通報及び相談の受付

(2) 不正行為に関する通報及び相談並びに提供された情報の整理並びに最高管理責任者及び研究コンプライアンス統括管理責任者への報告

(通報の取扱い)

第10条 不正行為があると思料する者は、何人も、通報窓口を通じ、書面、ファクシミリ、電子メール、電話又は面談により、不正行為に関する通報を行うことができる。

2 通報は、原則として、顕名により、不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ不正行為とする合理的理由が示されているもののみ受け付ける。ただし、通報者は、その後の調査において氏名の秘匿を希望することができる。その場合、通報窓口の担当者、最高管理責任者、研究コンプライアンス統括管理責任者は、この規程に定める不正行為の調査等の過程で、通報者の氏名が調査関係者及び被通報者等に知れることがないよう十分な配慮をしなければならない。

3 通報窓口は、匿名による通報があった場合には、研究コンプライアンス統括管理責任者と協議の上、必要と認める場合にこれを受け付けることができる。この場合において、当該通報者に対する第16条第3項及び第5項第18条第1項第23条第1項に定める通知は行わない。

4 通報窓口は、通報を受け付けたときは、速やかに最高管理責任者及び研究コンプライアンス統括管理責任者に報告するものとする。

5 報道機関、学会等の研究者コミュニティ又はインターネット等により、不正行為の疑いが指摘された場合には、研究コンプライアンス統括管理責任者は、これを匿名の場合に準じて取り扱うものとする。

6 本学以外の機関に係る不正行為の通報があった場合には、該当する機関へ回付するものとする。

(通報の相談)

第11条 研究活動に係る不正行為の疑いがあると思料する者で、通報の是非や手続きについて疑問がある者(以下「相談者」という。)は、通報窓口に対して相談することができる。

2 相談があったときは、通報窓口は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、相談者に対して通報の意思の有無を書面で確認するものとする。

(通報窓口担当者の義務)

第12条 通報窓口の担当者は、通報又は相談を受け付けるに際し、面談による場合は個室にて実施し、書面、ファクシミリ、電子メール又は電話による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないよう措置を講ずる等、適切な方法で実施しなければならない。

2 相談の内容が、不正行為が行われようとしている、又は不正行為を求められている等であるときは、通報窓口の担当者は、最高管理責任者及び研究コンプライアンス統括管理責任者に報告するものとする。

3 最高管理責任者又は研究コンプライアンス統括管理責任者は、前項の報告内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。

(悪意に基づく通報の禁止)

第13条 通報者は、悪意をもって不正行為に関する虚偽の通報をしてはならない。

2 最高管理責任者は、調査の結果、悪意に基づく通報であることが判明した場合は、懲戒処分、刑事告発その他必要な措置を講ずることができる。

(職権による調査)

第14条 最高管理責任者は、通報の有無に関わらず、信頼性のある情報が提供され、不正行為があると疑われる場合は、当該行為に係る調査の開始を研究コンプライアンス統括管理責任者に命ずることができる。

(予備調査委員会の設置等)

第15条 研究コンプライアンス統括管理責任者は、通報があった場合又は前条に基づく最高管理責任者からの指示があった場合には、研究不正防止委員会の下に、予備調査委員会を設置する。

2 予備調査委員会は、通報された行為が行われた可能性、通報の際に示された合理的理由の論理性、通報内容の調査可能性等について、予備調査を行う。

3 予備調査委員会は、研究コンプライアンス統括管理責任者が指名する3名以上の委員によって組織する。ただし、委員には原則として被通報者が所属する部局の長(部局の長が通報者及び被通報者と直接の利害関係がない場合に限る。)を含むものとする。また、委員は通報者及び被通報者と直接の利害関係がない者とする。

4 予備調査委員会は、必要に応じて、被通報者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。

5 通報がなされる前に取り下げられた論文等に対する通報についての予備調査を行う場合は、取り下げに至った経緯及び事情を含め、不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。

6 予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る資料を保全する措置をとるものとする。

(予備調査の報告)

第16条 予備調査委員会は、原則として通報を受け付けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を最高管理責任者及び研究コンプライアンス統括管理責任者に報告する。

2 最高管理責任者は、前項の報告に基づき、本調査を行うか否かを直ちに決定する。

3 最高管理責任者は、本調査を実施することを決定したときは、文部科学省等及び研究資金配分機関に、本調査を行う旨を報告するとともに、通報者及び被通報者に対して、本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。

4 最高管理責任者は、本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、被通報者に対して、通報された事案に係る研究費等の一時的な支出停止等の必要な措置を講ずることができる。

5 最高管理責任者は、本調査を行わないことを決定したときは、その旨を予備調査に関係した全ての者に通知するとともに、理由を付して通報者に通知するものとする。この場合には、予備調査委員会は、文部科学省等、研究資金配分機関又は通報者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保全するものとする。

(調査委員会の設置等)

第17条 最高管理責任者は、本調査を実施することを決定したときは、研究不正防止委員会の下に、調査委員会を設置する。

2 調査委員会は、次に掲げる委員によって組織する。ただし、委員の半数以上は外部有識者でなければならない。

(1) 研究コンプライアンス統括管理責任者

(2) 役員及び職員の中から最高管理責任者が指名する者 若干名

(3) 弁護士、公認会計士、研究経験を有する者等、最高管理責任者が指名する外部有識者 若干名

3 調査委員会に委員長を置き、前項第1号に掲げる委員をもって充てる。

4 委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ指名した委員がその職務を代理する。

5 第2項に掲げる委員は、通報者及び被通報者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。

(調査の通知等)

第18条 最高管理責任者は、調査委員会を設置したときは、通報者及び被通報者に対し、調査の開始並びに委員の氏名及び所属を通知する。

2 通報者及び被通報者は、前項の規定により通知を受けた委員の指名に不服があるときは、通知を受けた日から起算して7日以内に異議申立書を最高管理責任者に提出することができる。

3 最高管理責任者は、前項の規定による提出を受けたときは、内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該申立てに係る委員を交代させるとともに、その旨を通報者及び被通報者に通知するものとする。

(本調査の実施)

第19条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始する。

2 調査委員会は、通報において指摘された事案に係る研究に関する研究資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により、不正行為について、事実の有無、その内容、関与した者及びその関与の程度等を調査する。

3 調査委員会は、通報された事案に係る研究活動の他、必要と認める場合には、調査に関連した被通報者の他の研究活動も調査対象とすることができる。

4 調査委員会は、被通報者による弁明の機会を設けなければならない。

5 被通報者は、調査委員会に対する弁明において、自己の行為が不正行為に該当しないと主張するときは、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続に則って行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。

6 調査委員会は、被通報者に対し、再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また、被通報者から再実験等の申し出があり、調査委員会がその必要を認める場合は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等について、合理的に必要と判断される範囲内において保障するものとする。

7 通報者、被通報者及びその他当該通報に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう誠実に協力しなければならない。

8 調査委員会は、本調査を実施するに当たって、通報された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。

9 通報された事案に係る研究活動が本学で行われたものであって、被通報者が既に本学以外の機関に所属している場合等、通報された事案に係る調査機関が本学となっていないときは、調査機関の要請に応じ、通報された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。

(中間報告)

第20条 調査委員会は、研究資金配分機関から求めがあった場合には、本調査の終了前であっても、調査の中間報告を最高管理責任者及び研究資金配分機関に提出する。

(認定)

第21条 調査委員会は、原則として本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容をまとめ、不正行為が行われたか否か、不正行為と認定された場合は、その内容、不正行為に関与した者及びその関与の程度、不正行為と認定された研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割並びにその他必要な事項を認定する。

2 不正行為が行われなかったと認定される場合において、調査を通じて通報が悪意に基づくものであると判明したときは、調査委員会は、併せてその旨の認定を行うものとする。この認定を行うに当たっては、通報者に弁明の機会を与えなければならない。

3 調査委員会は、第1項及び前項の認定が終了したときは、直ちに最高管理責任者に報告しなければならない。

(認定の方法)

第22条 調査委員会は、被通報者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言又は被通報者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、不正行為か否かの認定を行う。

2 調査委員会は、被通報者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。

3 調査委員会は、不正行為に関する証拠が提出された場合には、被通報者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。研究資料等の不存在等、本来存在するべき基本的な要素の不足により、不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。ただし、被通報者が善良な管理者の注意義務を履行していたにも関わらず、その責に寄らない理由により、十分な証拠を示すことができなくなった場合等、正当な理由があると認められる場合はこの限りではない。

(調査結果の通知及び報告)

第23条 最高管理責任者は、速やかに、調査結果(認定を含む。以下同じ。)を通報者及び被通報者(被通報者以外で不正行為に関与したと認定された者も含む。以下同じ。)に通知するものとする。被通報者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。

2 最高管理責任者は、前項の通知に加えて、調査結果を文部科学省等及び研究資金配分機関に報告する。

3 最高管理責任者は、悪意に基づく通報の認定があった場合において、通報者が本学以外の機関に所属しているときは、当該機関にも通知する。

(不服申立て)

第24条 被通報者は、通知された調査の結果に不服があるときは、その調査結果が公表された日から起算して14日以内に不服申立書を調査委員会委員長に提出することができる。

2 通報が悪意に基づくものと認定された通報者(被通報者の不服申立ての審議の段階で悪意に基づく通報と認定された者を含む。)は、その認定について、前項の規定に準じて、不服申立てをすることができる。

3 不服申立ての審査は、調査委員会が行う。最高管理責任者は、新たに専門性を要する判断が必要になる場合は、調査委員会の委員を交代若しくは追加し、又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせることができる。この場合において、新たな委員は、第17条第2項及び第5項の規定に準じて指名する。

4 調査委員会(調査委員会に代わる者を含む。以下本条において同じ。)は、不服申立書の提出があった場合には、不服申立ての趣旨、理由等を勘案し、その事案の再調査を行うか否かを速やかに決定する。当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、直ちに最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は、不服申立人に対し、その決定を通知する。その際、不服申立てが当該事案の引き延ばし又は認定に伴う各措置の先送りを主な目的とすると調査委員会が判断するときは、以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知するものとする。

5 調査委員会は、不服申立てに対して再調査を行うことを決定したときは、直ちに最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は、不服申立人に対し、再調査の決定を通知する。

6 最高管理責任者は、第1項の規定による不服申立てがあったときは、通報者に対して、第2項の規定による不服申立てがあったときは、通報者が所属する機関及び被通報者に対して通知するとともに、文部科学省等及び研究資金配分機関に報告する。不服申立ての却下及び再調査の決定をしたときも同様とする。

(再調査)

第25条 調査委員会は、再調査を行うことを決定したときは、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足ると不服申立人が思料する資料の提出を求め、当該事案の速やかな解決に向けて、再調査への協力を求めるものとする。

2 前項に規定する不服申立人からの協力が得られない場合には、調査委員会は再調査を行うことなく手続きを打ち切ることができる。その場合には、調査委員会は、直ちに最高管理責任者に報告する。報告を受けた最高管理責任者は、不服申立人に対し、その決定を通知する。

3 調査委員会は、再調査を開始したときは、原則として再調査の開始の日から起算して50日以内(悪意に基づく通報と認定された通報者からの不服申立てについては、30日以内)に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに最高管理責任者に報告する。

4 最高管理責任者は、再調査の結果を、速やかに通報者及び被通報者に通知するとともに、文部科学省等及び研究資金配分機関に報告する。被通報者又は悪意に基づく通報の認定を受けた者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。

(調査結果の公表)

第26条 最高管理責任者は、不正行為が行われたとの認定がなされた場合には、速やかに調査結果を公表する。

2 前項の公表における公表内容は、不正行為に関与した者の氏名及び所属、不正行為の内容、本学が公表時までに行った措置の内容、調査委員会委員の氏名及び所属並びに調査の方法、手順等を含むものとする。

3 最高管理責任者は、不正行為が行われなかったとの認定があった場合には、原則として調査結果を公表しない。ただし、被通報者の名誉を回復する必要があると認められる場合、調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表する。

4 最高管理責任者は、悪意に基づく通報が行われたとの認定がなされた場合には、通報者の氏名及び所属、悪意に基づく通報と認定した理由、調査委員会委員の氏名及び所属並びに調査の方法、手順等を公表するものとする。

(措置)

第27条 最高管理責任者は、不正行為が行われたとの認定があったときは、不正行為への関与が認定された者及び関与したとまでは認定されないが不正行為が認定された論文等の内容について責任を負う者として認定された著者(以下「被認定者」という。)に対し、教育研究評議会の議を経て、不正行為と認定された論文等の取り下げ、訂正又はその他の措置を勧告するとともに、直ちに研究費等の使用中止を命ずるものとする。

2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を最高管理責任者に行わなければならない。

3 最高管理責任者は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表するものとする。

4 最高管理責任者は、不正行為が行われなかったとの認定がなされたときは、その旨を調査に関係した全ての者に通知するとともに、必要に応じて被通報者の不利益の発生の防止のための措置を講ずるものとする。

6 最高管理責任者は、被認定者が本学の学生(研究生その他本学において修学する者を含む。)である場合には、被認定者に対し国立大学法人お茶の水女子大学学生懲戒規程(以下「学生懲戒規程」という。)等に基づき、必要な処分を行うことができる。

(被認定者に不利益をもたらす行為の禁止)

第28条 本学の役員及び職員(非常勤である者を含む。)、学生(研究員その他本学において修学する者を含む。)、その他本学の業務を行う者又は本学において教育研究活動に従事する者(以下「役職員等」という。)は、最高管理責任者が前条第1項第5項又は第6項の規定に基づき講ずる措置を除き、被認定者に不利益をもたらす行為をしてはならない。

(通報者、相談者及び被通報者の保護)

第29条 役職員等は、通報又は相談をしたことを理由として、通報者及び相談者に不利益を及ぼす行為をしてはならない。

2 役職員等は、単に通報又は相談がなされたことのみによって、相当な理由なしに、被通報者に対して不利益を及ぼす行為をしてはならない。

3 最高管理責任者は、通報者若しくは相談者に対して不利益な扱いを行った者がいた場合、又は被通報者に対して相当な理由なしに不利益な扱いを行った者がいた場合には、就業規則教員就業規則非常勤職員就業規則及び懲戒規程並びに学生懲戒規程等の規定に従って、その者に対して処分を課すことができる。

(協力義務)

第30条 役職員等は、予備調査委員会及び調査委員会の調査等に協力しなければならない。

(秘密保持義務)

第31条 役職員等は、この規程に定める不正行為の調査等に関して知ることのできた秘密を漏らしてはならない。本学の役職員等でなくなった後も同様とする。

2 最高管理責任者及び研究コンプライアンス統括管理責任者は、通報者、被通報者、通報内容及び調査内容について、調査結果の公表まで、通報者及び被通報者の意に反して調査の関係者以外に漏えいしないよう、関係者の秘密保持を徹底しなければならない。

3 最高管理責任者又は研究コンプライアンス統括管理責任者は、当該通報に係る事案が外部に漏えいした場合には、通報者及び被通報者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事案について公に説明することができる。ただし、通報者及び被通報者の責により漏えいした場合は、当該人の了解は不要とする。

この規程は、平成18年9月14日から施行する。

(平成28年7月13日)

この規程は、平成28年7月13日から施行する。

(平成29年3月31日)

この規程は、平成29年4月1日から施行する。

(平成29年9月27日)

1 この規程は、平成29年9月27日から施行する。

2 国立大学法人お茶の水女子大学研究倫理委員会規則は、廃止する。

(平成31年3月29日)

この規程は、平成31年4月1日から施行する。

(令和元年12月18日)

この規程は、令和2年4月1日から施行する。

(令和2年1月15日)

この規程は、令和2年4月1日から施行する。

(令和2年3月31日)

この規程は、令和2年4月1日から施行する。

(令和4年3月29日)

この規程は、令和4年4月1日から施行する。

国立大学法人お茶の水女子大学における研究活動に係る不正行為の防止及び対応に関する規程

平成18年9月14日 制定

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第7編 研究協力
沿革情報
平成18年9月14日 制定
平成28年7月13日 種別なし
平成29年3月31日 種別なし
平成29年9月27日 種別なし
平成31年3月29日 種別なし
令和元年12月18日 種別なし
令和2年1月15日 種別なし
令和2年3月31日 種別なし
令和4年3月29日 種別なし