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新型コロナウィルス関連肺炎に関する注意喚起について(2020年3月2日情報)

2020年3月2日更新

学生ならびに教職員各位 

2020年1月27日
保健管理センター所長 本田善一郎

新型コロナウイルス感染症COVID-19世界の動向

 新型コロナウイルス感染症COVID-19は世界的に感染が拡大し、2020年2月29日現在WHOの発表では中国での確定診断例79,394例(93.0%)、その他の地域6,009例(7.0%)、中国での死亡例2838例(死亡率3.2%)、その他の地域86例(死亡率1.4%)と報告されています。WHOによる中国、中国以外の地域における新規発症数(診断症例数)の経過、中国NHC Chinaによる中国での新規発症数(確定診断、疑い症例数)の経過(Epidemic curve)を図1, 図2に示しています。

 図1に見るように新規感染の拡大は時間的なラグを持って中国外に移動しています。また、中国の新規発症数(診断症例数)は減少に転じ約10日の半減期で漸減していますが、2月29日現在も500/日程度と下げ止まりを見せており、感染総数からも未だに中国が感染地域として重要であること、そして一旦感染が拡大すると感染の連鎖を断ち切ることが容易ではないことが示されています。死亡率に関しては中国とそれ以外の地域の格差がさらに縮小しています。イランでは~10%の死亡率が報告されていますが、生活習慣、暴露ウイルス数、遺伝的素因、医療給付の差異の可能性に加え、全数把握の不完全さが影響している可能性があります。

 2月29日現在では国、地域での感染数格差は十分に大きく、移動制限による感染封じ込めによって世界の感染者総数を低減できる可能性が残されており、WHOはパンデミックに至ってはいないことを強調しています。(2020年3月2日)

WHO: Novel Coronavirus (2019-nCoV) situation reports
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/
NHC China Dairy briefing
http://en.nhc.gov.cn/DailyBriefing.html

0302図1,2

WHO及び日本政府の対応

 WHOは中国を含む全世界の危険度を極めて高い(very high)に引き上げました。日本政府は湖北省全域、浙江省温州市への「渡航中止」、中国全土への「不要不急の渡航を中止する」勧告を行なっています。COVID-19は指定感染症に定められ、無症候性病原体保持者に対する入院指示、就業および登校制限が行われます。日本政府は小中学校の春休み前倒し、イベント開催の延期や規模縮小を要請するなど、集団感染リスクを低減する施策を行なっています。(2020年3月2日)

日本、中国以外の国における状況(3月2日情報)


日本国内、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号、韓国、イラン、イタリア、その他の地域における新規発症数、総発症数を図3, 図4に示しています。前回(2月25日掲載記事)の傾向がさらに明らかとなり韓国、イラン、イタリアでの新規発症数(診断症例数)がやや急峻に増加しています。日本における発症数(診断症例数)は漸増に止まっており現在が日本における感染者総数を抑制するために極めて重要な時期であることが示されています。(2020年3月2日)

0302図3,4

感染対策:日本における2次感染をいかに最小に食い止めるか(3月2日情報)

COVID-19は決して軽症に経過する疾患とは言い切れません。比較されることの多い季節性インフルエンザは予防接種、治療薬の存在下で死亡率は0.1%程度であり、若年、壮年者の死亡率はさらに極めて低いものです。中国の疾病予防センター(Chinese Center for Disease Control and Prevention)の報告では、致死率は80代、60代、40代、30代以下でそれぞれ14%, 3.6%, 0.45%, 0.2%とされ、この若年壮年者死亡率自体が看過できない値です。すでに日本では20代の重症例が1例報告され、複数の若年者が肺炎を発症し入院を必要としています。若年者を含め、感染に対する万全の注意が必要となります(2020年2月25日) 

新型コロナウイルスの感染性の高さはすでに明らかにされていますが、最近の報告(中国における臨床医on-line platformをデータベースとした)によると、感染者のボリュームゾーンは25歳から49歳(~69歳)にあることが推定されています(Lancet February 20, 2020 DOI: https://doi.org/10.1016/S2589-7500(20)30026-1)。若年者の方も油断せず、感染予防に配慮してください。(2020年2月25日)

我々の注意すべき点は、不特定他者からの感染リスクを低減し、他者に感染を広げないことにあります。すなわち、  

  1. 感染者との接触を避けること
  2. 手すりやつり革、キーボードなどに残存するウイルスを、自らの手から目、鼻、口の粘膜に移行させないようにすること
  3. 自分が発端者となり他へ感染を広げないこと

が必要となります。
ですので、

  • 外出、出勤退勤時など常に、目、鼻、口を触らないように、手を肩より上に上げないように習慣づけましょう。マスク着用も一定の効果があります。
  • 職場、自宅に帰るなど区切りの際に、石鹸、流水で20秒間手を洗ってください。アルコール含有消毒液も有効です。
  • 不要不急の会合を中止し、個々人が人混みに行かないように、時差出勤、在宅勤務を積極的に取り入れてください。
  • 部屋の換気をしてください。寒い時期ですが、窓を開けて空気を入れ替えましょう。
  • 感染地域から帰国した際は14日間症状を観察し、できるだけ出勤登校を控え、人との接触を最小限としてください。
  • 熱がある、咳が出る、体がだるい、などの症状があったら、自宅待機として、家族との接触、タオルなどの共用を避けてください。
  • 受診する際は、必ずマスクをしてください。かかりつけの医療機関に連絡して指示を受けることが理想的です。状況から新型コロナウイルス感染症が否定できない場合は、以下の連絡先に相談して指示を受けてください(2020年2月25日)

ご自身にがある、感染症を思わせる症状のある場合の指針は、  大学ホームページに示されている指針に従って行動してください。
https://www.ocha.ac.jp/news/20200317.html

上記のように、家族を含め他者に感染を広げないこと、自身の感染リスク、重症化のリスクを正しく判定し受診し、検査を受けること、が重要であり、そのためには、

●熱がある、咳が出る、体がだるい、などの症状がある場合は、自宅待機として、家族との接触、タオルなどの共用を避け、経過を見るとともに、大学の所属機関、保健管理センターに連絡してください。
●症状が強い、数日続く、罹患者との接触が否定できない、などの場合は、下記の連絡先(保健所特設機関等)に電話相談して、受診医療機関、受診方法に関する指示を受けてください。受診の際には医療機関に連絡し、マスクをして受診するなど、他者への感染を起こさないことにご配慮ください。
●高齢、基礎疾患(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病など)など重症化のリスクがある場合は、かかりつけの医療機関に連絡して指示を受けることが最も良い方法です。あるいは、下記の連絡先に早めに電話相談して指示を受けてください。
3月2日(月)の週にCOVID-19検査(PCR検査)が保健収載される可能性があります。保健所等への連絡を経ずに、医師の判断で広く検査が行われますが、現状の検査能力から当面は対象者が選別されるものと思われます。(2020年3月2日)

連絡先:

厚労省電話相談窓口
0120-565653 9時から21
時帰国者・接触者相談センター(注1)
文京区:03-5803-1824 9時から17時
板橋区:03-3579-2321 9時から17時

合同電話相談センター(注1)
03-5320-4592 夜間および休日
注1 これらの窓口は主として以下の人を対象としています。

  1. 発熱または呼吸器症状(軽症含む)があり新型コロナウイルス感染者と接触があった人
  2. 37.5度の発熱かつ呼吸器症状があり発症前14日以内に湖北省に渡航、居住していた人
  3. 同症状があり発症前14日以内に湖北省に渡航、居住していた人と濃厚接触がある人(2020年2月16日)

関連リンク / Related Links

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»厚生労働省ホームページ (新しいウインドウが開き、本サイトを離れます)
»CDC(Centers for Disease Control and Prevention)ホームページ (新しいウインドウが開き、本サイトを離れます)

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