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2016年オープンキャンパス 学長挨拶 7月18日 文教育学部B

2016年8月29日更新

本日は猛暑の中、お茶の水女子大学文教育学部のオープンキャンパスにお運び頂き、まことに有難うございます。酷い暑さですので、熱中症が危惧されます。どうぞ十分に水分補給などに気をつけて頂きたく、お願い申し上げます。
短い時間ではありますが、この機会に、本学の特色ある教育と研究や、学生支援策等について、より良く理解していただければ幸いです。

お茶の水女子大学の歴史は、日本初の女性のための高等教育機関として1875年に東京「御茶ノ水」の地に東京女子師範学校として設立されたことに始まります。それから70年余、女性のための高等師範学校として、優れた女性教育者の育成に当たってきましたが、第二次世界大戦後の1949年に新制大学としての「お茶の水女子大学」が発足し、小さいながらも、文教育学部、理学部、家政学部(現在の生活科学部)の3学部からなる総合大学としての歩みを開始しました。新制大学に移行する際に、発祥の地である「御茶ノ水」の名が、大学の名称になりました。その後、1963年に大学院修士課程(現在の博士前期課程)が、1976年に博士課程(同後期課程)が設置され、修士学位や博士学位を取得する道が開かれました。その歴史の中で、多くの優れた女性たちが育ち、社会へ羽ばたいて行きました。

2004年に、全ての国立大学が国の組織から独立した「国立大学法人」となりました。その際に、お茶の水女子大学は、『学ぶ意欲のある全ての女性にとって、真摯な夢の実現の場として存在する』との標語を掲げ、学びたくても学ぶことのできない開発途上国の女性たちをも含めて、世界中の全ての女性たちの夢の実現を支援することを目指し、また、国境を越えた研究と教育文化を創造することを目指して活動を開始しました。 
それ以降、本学は「グローバル女性リーダーの育成」をミッションとして、世界に向けて大きな窓を開き、様々な国からの留学生を受け入れ、また、日本人の学生達の様々な国への留学を後押ししています。
これまでに、本学の学部と大学院では、世界54カ国から留学生を迎えています。また、今年5月現在、29カ国220名の留学生が在学しており、学生・大学院生・研究者の交流協定を結んでいる大学も、24カ国69大学に上っています。

本学の「グローバル女性リーダーの育成」は、決して最近始まったことではありません。女性が海外に出ることさえ困難な時代から、本学の卒業生は広い視野を持って、国際的に活躍してきました。
わが国の女性科学者として初めて米国に留学し、海外の学術誌に論文を発表して、初の女性理学博士となった生物学者の保井コノさんや、最初の帝国大学生と成り、2人目の女性理学博士となった化学者の黒田チカさん、第2次世界大戦前後の困難な時期にフランスに渡って、ジョリオ=キュリー夫妻の許で国際的な女性物理学者として活躍した湯浅年子さんなどを先駆けとして、現在に至るまでに多くの学者・研究者などが、グローバルに活躍しています。
文科の卒業生の一人で、グローバル女性リーダーの先駆けとして活躍された安井てつさんは、本学附属小学校や女子高等師範学校で教鞭を執った後、ケンブリッジ大学とオクスフォード大学で教育学と心理学を学びました。そして、帰国後に女子高等師範学校に勤務した後、1904年から当時シャム国と呼ばれていたタイ王国において、3年間に渡って女子教育の推進のために尽力しました。100年以上も前の日本人女性の、特筆すべき国際貢献です。安井さんは、その後さらにウェールズ大学や本学での勉学と研究・教育に務め、東京女子大学の創立者である新渡戸稲造氏に要請されて第2代の学長になりました。高い理想を持って、女子のための高等教育や自然科学教育の重要性を唱え、第2次世界大戦中にも将来を見通した英語教育を続けたことでも、良く知られています。
こういった素晴らしい先輩の存在は、後に続く私たちにとって、大きな希望です。

現在も、様々な領域で活躍している女性たちの多くが、本学出身であることに驚かされます。こうした先輩たちの活躍は、後に続く若い方々にとって、とても力強い後押しとなってくれるでしょう。
本学の教職員たちは、学ぶ意欲のある学生たちを心から応援し、優れた教育と研究の環境を作るために、精一杯努力しています。小さな大学であることは、教職員と学生達の距離がとても近いと言う利点もあって、若い方たちが途中で挫折することのないよう、教職員たちが常に心を配って、教育や研究指導、生活指導に当たっています。

今日ここにお出で下さっている高校生の方々の多くが、自分自身の夢を実現させ、社会のために貢献できる人となるために、本学を学びの場として選んで下さることを期待しています。
お暑い中、オープンキャンパスへのご参加、本当に有難うございました。

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