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ワークショップ リポート  ~ 2014年度 ~


  第六回「女性のグローバルな活躍のためのワークショップ」(2015年1月22日)報告 


「日系企業のグローバル展開」

講師    宮坂 悠子 氏
㈱POLA海外事業部マーケティングチーム


 今年度最終回のワークショップは、今年唯一の実業界からの講師をお招きした。宮坂悠子さんはお茶の水女子大学のOGでもあり、また2010年に学部卒業と、これまでの講師の中で最年少、参加学生たちにも身近に感じられる存在だ。

 しかしご講演で語られるそのキャリア経験は、㈱POLAに入社してたった5年目とはとても思えないほど豊かなものだ。入社研修を終えたばかりでいきなり抜擢、ベトナム代理店の担当を単独で任され、会社のベトナム進出の先鋒を務めることとなった。日本においても高級な化粧品であるPOLA製品を、さらに所得の低い国で販売するという難問に直面し、人間関係でも物品の調達でも「日本の常識」が通じない環境で、ひたすら奮闘した。エステの路面店を開いて製品を売ることになったものの、施術に必要なきれいな水を作る浄水機がなかなか手に入らず、スーパーをかけまわって浄水を買い集めたなど、驚くばかりの苦労譚が次々に紹介される。 


 残念ながらこのベトナム進出は結果的には厳しい局面を迎え、POLAの路面店は2014年にクローズとなった。だがそれで落ち込む宮坂さんではない。失敗の理由は、日本の製品なら品質が良いから売れるだろうという一種の驕りの気持ちで、進出後の販売戦略が不十分であったことだと、冷静かつ的確に分析してみせた。日本は今やアジアのリーダーではなく、アイドルやファッションなどの文化面でも、果ては日本が自慢にしてきた「モノ作り」でさえも、この数年で他のアジア諸国に追い抜かれつつあるという。もはや追われるのではなく「追う」立場であることを認識すべし、というご指摘は、ずっと年長の人間にとっても、衝撃を伴う学びとなった。


   世界は本当に変わりつつあるという事実を目の当たりにさせていただき、今後はそのような変化や未来を新しい目で見られる若い世代こそが、グローバル社会の主役になっていくのだというメッセージを受け取って、年度最終回にふさわしい幕切れとなった。



 参加者の声 ~第六回ワークショップに参加して~ 

内山 みどり  
文教育学部言語文化学科(グローバル文化学環)2年


 私が所属しているグローバル文化学環では、自分の関心に沿って幅広い視野で学ぶことが出来る。社会に対して問題意識をもつことは新しい視点を私にもたらしてくれるので、楽しく学生生活を送っている。それと同時に、2年生も終盤に差し掛かり、そろそろ卒論の研究テーマを考える時期だという自覚もある。しかし、果たして卒業するときに、一つでも何か社会で役に立つ「専門性」が身についているのだろうか、と、今のコースで学ぶことに漠然とした不安も抱くようになった。

 そんな中で、今回グローバル文化学環卒業の先輩のお話を伺う機会に恵まれた。宮坂悠子さんの経歴やエピソードから感じたのは、ポジティブな意味での貪欲さだ。未知なる世界に飛び込むことに対し、躊躇することなく、積極的に機会をつかもうとする姿勢だ。海外留学プログラムの主催者に自分の思いをぶつけた結果、先方が特別にルールを変えて宮坂さんを海外に送り出してしまったという驚くべき逸話からもうかがえるように、自分から働きかけるくらいの情熱がなくてはならないと思った。

 続いて関心を持ったのは、化粧品という、美意識に根差した道具を世界にむけてPRしていくことの意義について。私は、化粧品とは衣食住に費やすのに精一杯な人にとっては優先度の低いものであり、先進国ではまだしも途上国ではあまり売れないのではないかと思っていた。確かに、高額な化粧品はすべての人に受け入れられるわけではない。しかし、「今日もこのリップ一本でがんばろう!」と女性の気持ちを押すのが化粧品のもつ力なのではないか、という宮坂さんのお言葉に、はっとさせられた。文化や価値観の違いを受け入れ、その地でどのような方法をとれば化粧品に魅力をもってもらえるか、コミュニケーションをとりながら地道に働きかけることが大切なのだと。

 世界中で日本製品の品質の高さは評価されている。しかし、もはや「品質の良さ」を掲げていれば売れるという受け身的な姿勢では通用しないという。日本的な美意識を押し付けるのではなく、化粧品に対していかに共感をもってもらうかを考えながらプロモーションを行うきめ細やかさこそが、日本企業の強みとなるのかもしれない。

 最後に、「地球規模で活躍できる専門性」には語学力、マーケティング、IT、会計、経営…などが挙げられている。しかし、これらのうち一つでも在学中に専門性を高められるのか疑問に思って質問した。すると、在学中おなじような疑問を持っていたという宮坂さんから、「努力することが才能の一つ」というお答えが返ってきた。先に挙げたいわゆる専門性は、大学の学問領域としてはある。しかし、社会の中で磨くこともできる。「努力すること」。これが自分の強みといえるまでになるためには、それなりの努力を要する。かえって難しいことかもしれない。だからこそ、この言葉を心にとめて生きていきたいと思った。



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