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第二回 Women’s Global Leadership Summit  ~学生参加リポート~



 「第2回女性グローバルリーダーシップ国際会議」に参加して 

酒井 仁美  
文教育学部芸術・表現行動学科音楽表現コース2年


 今回のシンポジウムに参加して、女性の置かれた現状とリーダーシップに関してさまざまな興味深い見解を知ることができて非常に有意義であったと感じている。ここでは、特に私にとって印象深かった二点、すなわち男女の能力の特徴とリーダーシップとの関係と、女性リーダーの推進の手段としてのクオーター制について書きたいと思う。

 シンポジウムの中で、日本で女性リーダーが育ちにくい要因のひとつとして男性と女性の能力の特徴とリーダーシップの性質との関係が話題になった。この点に関して、男女の能力の違いは、どこまでが実際の能力の特徴でどこからステレオタイプが入ってくるのか、また、どこまで生まれつきの差でどこからが教育などによって後天的に身についたものなのか、という疑問が出され、非常に興味深かった。また、そのことに関して、男女共同参画社会や女性リーダーの活躍を実現するためには今後どのような教育が施されるべきなのか考える必要があると感じた。リーダーシップに関していえば、従来のリーダーシップに対するステレオタイプと女性に特徴的な能力との間にギャップが生じているために女性リーダーが登用されにくく、職場で受け入れられにくいというお話があったが、「リーダーシップにおけるイノベーションが必要である」というヒダシ先生のご発言にもあるように、ステレオタイプを排除して現代社会で本当に有用なリーダーシップとは何かを再考することや、女性に特徴的な能力をリーダーシップにどう活用していくかを考えることが必要であると感じた。

 次に、女性リーダーを増やすための方策の一つとして提案されていたクオーター制について書こうと思う。クオーター制に対しては逆差別という批判をする人もおり、論争の多い制度である。私自身、このシンポジウムに参加するまではクオーター制にはどちらかといえば反対だったのだが、女性にも能力があるのだから、まずはクオーター制によって先駆的に女性リーダーを登用し、そのことによって女性リーダーのネットワークが形成され、いずれは人々が「女性リーダー」を特別視しなくなるような男女の平等が達成される、というホルドグリューン先生の示してくださったビジョンは非常に説得力があり、クオーター制の解決策としての有効性を感じた。

 以上に見てきたように、女性リーダーが活躍しにくい現状の原因にはさまざまなステレオタイプがあり、この現状を変えるためにクオーター制を含む多様な解決策が考えられている。女性リーダーが活躍できる社会にしていくためには、制度を変えることと同じくらいに、もしくはそれ以上に、教育や人々の意識を変えていくことが大切なのではないだろうか、というコメントも出されたが、私はこの意見に賛成である。そしてそのためには、今回のシンポジウムのように、女性とリーダーシップについてより多くの人々が関心を持ち、議論をしていくことが重要であると感じた。





 「自国外の問題に対して真剣に取り組むこと」 

三上 奈緒子  
文教育学部人間社会科学科心理学コース2年


 ジェンダー問題や女性のキャリア形成について考える機会が多いお茶大に身を置いたからか、大学入学以降、このような近年社会的に注目を集めている問題に対し、当事者意識を持って考えるようになった。そんな中で今回のシンポジウムでは女性リーダーシップの概説やあり方などについて、海外との比較を交えながら知ることができた。しかしそれ以上に私は、このシンポジウムを通じて自国外の問題をテーマとして扱い、仕事とする女性の在り方について考えた。

 今回お話しして下さったのは、日本を含む世界中の大学で研究経験を持ち、本講演では日本の社会的役割とヨーロッパの社会的役割の違いや東ヨーロッパの育児環境についてお話しくださったヒダシ先生、カンボジアで就業機会を増やしたいと考え現地で起業した小島さん、積極的な女性登用を先駆けた元滋賀県知事にインタビュー調査を行うなど日本の男女共同参画について深く研究し、現在も日本を舞台に研究を行っているホルドグリューン先生であった。御三方とも、自国以外の環境に身を置いて働いており、その様子は生き生きとした印象で、女性ロールモデルとなるべき素敵な方々だと思った。というのも、自国外の問題を扱うことは少なからず葛藤や困難が伴うものであると考えるためだ。しかし御三方は外国人であるからこそ気付けることなどを最大限に発揮し、その国の人々と上手く関係性を築いていると感じた。

 また、御三方の話を通して、経営の場面で女性リーダーシップが実践されている様子を実感できた。小島さんは経営者としてスタッフに挨拶を心掛けさせているという。これは気配り、コミュニケーションスキルといった女性特有の「アナログ」的な能力であり、ヒダシ先生やホルドグリューン先生が提唱する女性特有のリーダーシップと同様である。このように経営者女性や世界を舞台に仕事をしている女性は、意識せずとも上手く女性型のリーダーシップを取り入れ、独自のリーダーシップを形成している。

 今回のフォーラムを通じて、2人の研究者の先生方からは今まで理解が曖昧であった女性リーダーシップ全般について、経営者の小島さんからは実社会の中でどのように仕事をしているかを伺った。職業は違えど、それぞれ他国の問題に対して真剣に取り組み考える姿はすばらしいと思った。



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 お茶の水女子大学
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 担当 石田・高柳
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