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全学教育システム改革推進本部

博物館実習

鷹野光行(文教育学部人間社会科学科)

 1981年6月に着任して以来、学芸員資格取得のための科目である「博物館実習」を担当してきた。実習を履修することのできる学生は、使用できる施設・設備や担当者のキャパシティの点から、毎年20名を少し超えるくらいの人数までである。この受講者数を制限せざるを得ない事情については学生の不満は大きいようで、有志学生から大学に向けて、何とか受講希望者は全員が(といっても実習受講前に取得しなければならない科目の単位を得ておかなければならないが)履修できるようにしてほしいという趣旨の要望書が出されている。大学がそれにどう応えたのかあるいは何も応えていないのかは承知していない。

 実習の内容を紹介しよう。3単位のうち、教育実習同様事前・事後の指導が1単位分義務づけられていることもあり、それらを含めて、春休み中と前期に行われる学内実習、前期の土曜日などをつかって出かける見学実習、そして現場で行う館園実習、の3本立てである。春休みに3班ほどに分けて2日間ずつの学内実習は、1班で最大8人ずつ、土器などの実測を通じてものを観察することを学ぶ。そして図の精度を確かめることも目的の一つとして他の人の作成した実測図をトレース、墨入れを行う。この部分は以前には考古学の後輩をボランティアで頼み(あとで1杯飲ませてお礼代わりとしていた)、指導をしてもらっていた。近年はTAをつけてもらえており、実習生との橋渡し役をしてもらっている。

 前期木曜の午前中の二コマを続けて行う学内実習の後半では、6×7版のフィルムとマミヤユニバーサルプレスカメラ、露出計をつかっての写真撮影、撮影したフィルムを現像しそれをつかっての写真の焼き付け、拓本取り、裏打ち実習などを行う。デジカメ全盛の時代に、いつまでもフィルムカメラをつかっての写真撮影など、という思いも少しはあるのだか、写真を撮る技術、原理などはフィルムカメラもデジカメも同じはず、と信じ、それならば原理原則を知ってもらおうと開き直ってたぶん私がやめるまで続けることだろう。裏打ちは、江戸川区のカルチャーセンターで学んできた私の母に基本を教わり、あとは独学(?)でとりあえず裏打ちができる、程度の技術を習得して学生たちにやって見せている。

 見学実習は土曜などをつかって7館、現地集合現地解散で私が引率して出かけるが、ただ見るだけではなく、学芸員の方に案内をお願いするとともにその館についてお話ししていただき、展示室はもとより収蔵庫などのバックヤードを見せてもらうこととしている。私は毎年同じ話を聞くのであるが、学芸員の方からは単に館の概要にとどまらず学芸員になるまでの話とか、とくに女性やお茶大の先輩の学芸員の話は実習生たちのこれからにも示唆を与えるものとなったりしているようだ。集団を引き連れて博物館の中やバックヤードを歩くのは20名くらいが限度だろう。それでも多いこともある。紙数が尽きるので館園実習については省略するが、何人もの先生方に実習館への訪問にご協力いただいていることを感謝する。

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