2015年4月2日(木)学長所信表明

 皆さま、今日は。昨日、文部科学省にて、辞令を頂いて参りました。今後4年間、本学の学長として、皆さまとご一緒にお茶の水女子大学のより良い発展のために、努力したいと思って居りますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 法人化後11年を経て、運営費交付金の削減やそれに伴う様々な負担の増加などで、教職員の皆さまの元気がなくなっていることが、気掛かりです。以前のような元気なキャンパスを取り戻すために、さらに、未来への夢を語れる学園を作るために、皆さまのご意見をお聞かせ頂き、ご協力頂きながら、さまざまな工夫を重ねて行きたいと思っています。
 法人化後の厳しい状況は、決して本学だけの問題ではなく、日本の大学全体が抱える問題ですので、国立大学全体で、是正策を考えていかなければならないと思います。ただ、喫緊の課題を解決するためには、本学独自の努力が必要です。この難しい局面を乗り切るために、是非、皆さまのお智恵とお力をお貸しください。

 11年前の法人化の際には、国立の女子大学としての本学の存亡が議論され、いくつかの大学との合併の話も出て、本当に大変な時期でした。当時、本学は、「女子大学」として独自の路線を歩むことを選択し、開発途上国の女子教育・幼児教育支援に乗り出し、また、特色ある専攻やセンターの設置、学内保育所の設置など、他の大学との差別化を図って、存亡の危機を乗り越えて参りましたが、今また、国立大学大競争時代などと言う言葉が新聞や雑誌の紙面に踊り、新たな試練の時が訪れています。

 以前にもお話させて頂きましたが、お茶の水の特色ある教育と研究を推進し、優れた人材を社会に送り出す上で、大学各部局の教職員は勿論のこと、附属校園の教職員との連携と協働による「オールお茶の水」体制の構築が極めて大切です。
 構成員が落ち着いてそれぞれの仕事や勉学に専念し、未来への夢を語れる環境を作ることを目指して、学内の皆様との議論を深め、国内外の研究・教育機関や行政との協働を強化して、適切な方策を実行することが必要だと考えています。
 教職員の皆さまに本学の運営に積極的に協力して頂くために、大学運営の一層の透明化を図り、皆さまからのご意見を伺う機会を出来るだけ多く作ります。

 これまでの執行部の方々が遂行してこられた、学内業務の整理や実績評価の見直し、ワーク・ライフバランスの推進による教職員の労働環境と教育・研究環境の改善、教職員や学生・生徒達の心と体の健康の維持については、これからも継続して改善を重ねていくことが必要だと思っています。
 また、今後予想される首都直下型地震や東海・東南海・南海地震等の災害への防災・減災対策は、本学の学生、生徒、児童、教職員の命だけでなく、学外から避難してこられる方々の命を守るために、喫緊の課題です。文京区や様々な機関との連携の下、早急に対策を進めたいと考えています。

 そして、本学の歴史と知的・人的資源、ブランド力を活用して、特色ある教育・研究に取り組む環境づくりに努力していきたいと考えていますので、この点でも、皆様のご協力を頂きたく、お願い致します。

 昨日、文部科学次官と面談して参りましたが、その際にも、お茶の水独自の教育と研究を推進し、他にないモデルを作って欲しいと言われました。附属校園を含む本学の全ての知的・人的資産を分野横断的に活用し、国内外の教育・研究機関、企業、行政等との交流を一層推進することで「基礎研究から社会における智の活用まで」を包含した先見的な教育・研究のモデルを構築することができると考えています。本学の資源を適切に活用することで、幼児から社会人までを俯瞰する教育プログラムを策定・提供することも可能であり、「全人的な教育」を担う教育・研究機関として、これまで以上に社会からの期待と要請に応え得ると考えています。

 過去から現在まで、「お茶の水」は、社会を先導する女性人材を育ててきました。東京女子高等師範学校の流れを汲む優れた教育者として活躍する卒業生は数多く、若い女性たちのロールモデルとして、また学問への興味を引き出すメンターとして、大きな役割を果たしてきました。また、様々な分野における研究者として活躍して来ました。どちらかと言うと地味な分野での活躍が多い本学の卒業生ですが、教員として、研究者として、また様々な分野でのロールモデルとして、女子教育・人財育成に果たしてきた役割は、きわめて大きいものです。
 今後、さらに世界に羽ばたく女性を育てるために、学園全体の協働によって、特色ある教育プログラムが作れるだろうと思っています。

 私は、大学というところは、教員達が、人間の英智の結集としての様々な学問を研究し、その成果を若い人たちに伝達する場であり、これから社会へ出て行って活躍する学生達の背中を押して、広い社会へ、そして世界へと送り出す場であると考えています。教員の皆さまには、それぞれの専門領域で十分に活躍して頂きたい、そして、学術活動などを通して得た知識や考え方を、惜しみなく学生達に伝えて頂きたいと思っています。その際に、教員の皆さまが、自由な発想の下で学問を語ることが、大学教育の特色であり、またそれが学生達にとって、大きな魅力になると考えます。
 そういった意味で、大学が様々な領域と教員を揃えて学生達に提供することは、学生達を全人的に教育する上で不可欠だと思っています。学生達の多様な能力を開発し、彼女たちが俯瞰的に問題を捉え、世界に羽ばたくことが出来るように手助けするためにも、幅広い学問を提供することが必要だと考えています。特に学部教育においては、学生達が将来、どんな職業に就いても、またどんな環境に置かれても、実力を発揮することができるよう、幅広い教育が必要不可欠です。

 お茶の水が、極めて小規模ながらも女子師範学校の時代から文科と理科を持ち、その後家政科を加えて、東京女子高等師範学校、新制大学へと発展し、新制大学になった昭和24年からずっと総合大学であり続けたのは、優れた人材の育成を志向された先人達の将来を見通すお考えがあったからだと思っています。

 さらに本学の教育・研究の特色や多様な活動を社会に向けて積極的に発信し、国内外におけるプレゼンスを高めたいと考えています。現在、教職員や学生たちが、社会に向けて有意義な活動を種々行っていますが、それらを全学的に結び付け、さらに付加価値をつけることも考えたいと思います。地域のための教育支援や、教育・心理的支援などを通した災害復興への寄与も、重要な視点です。

 今後、多くの課題に向かい合わなければならないと思いますが、皆さまとご一緒に、それらの課題を解決して行きたいと思っています。4年間に、どれだけのことが出来るか予想できませんが、皆さまのご努力とご協力が最大の鍵になりますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 なお、これからの執行部を支えてくださる理事・副学長の皆さまには、さまざまな領域でご活躍いただくことになりますが、その仕事は、年々膨らんで居りますので、大変なご苦労をお掛けすることになりそうです。教職員の皆さまには、是非、理事・副学長の方々を支え、ご協力頂きたいと思います。特に、各室長や室員の方々には、ご苦労をお掛けすることになろうかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。
 厳しい環境下での大変な活動の中に、明るい活動を出来るだけ取り入れたいと思って居ります。その一環として、世界各国の優れた若い女性たちと本学の学生達との文化交流なども計画しています。

 今後4年間、教育・研究面でのご活躍のみならず、大学運営にもご協力いただけますよう、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

2015年4月2日

お茶の水女子大学長
   室伏 きみ子

国立大学法人お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1

責任者:お茶の水女子大学ホームページ運営委員会委員長 

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