2014年4月1日(火)学長所信表明

 これまでの5年間、皆様にご協力いただきましたことを感謝申し上げます。
 大学が法人化されて10年が過ぎました。今は法人化そのものを検証する時期でもあり、法人化の問題が指摘されているのも確かです。とはいえ、次に進まなくてはならない状況に私たちは置かれています。
 それがどのような状況なのかを少し説明します。
 まず、今年は、第三期中期目標期間に向けて本学の姿勢を示さなくてはなりません。
 昨年11月に文部科学省から示された「大学改革プラン」に基づいていえることは次のことです。
 第一に、現在は、第三期中期目標期間に向けた改革加速期間にあります。したがって、今の本学の方針が第三期の方向を決定するということです。
 第二に、「大学改革プラン」で求められていることは、四つあります。強み・特色の重点化、グローバル化、イノベーション創出、人材養成機能の強化です。
 強み・特色の重点化については、ミッションの再定義でも記されていますが、国立の女子大学としてのこれまでの実績を活かすことが重要です。
 グローバル化については、「グローバル人材育成推進事業」の実施はもちろん、キャンパスの国際化も実現してゆくことが本学の特色になるといえます。この5年間で、国際交流協定校を30大学から60大学にまで倍増できましたので、この連携もグローバル化には有効に作用すると思います。
 さらに、このたび附属高等学校がスーパーグローバルハイスクールに選定されたことを考えると、附属学校園を同じキャンパスにもつ本学の特色を活かすことができると考えています。
 また、イノベーションの創出の点では、法人化の際に知的財産本部を設置しました。学内のシーズを社会に還元することが重要です。
 そして人材養成機能の強化については、現在の社会状況を鑑みて、女性のリーダー育成と理工系の女性の育成を本学は担うべき時であると考えています。
 これらの点からしても、本学の使命はグローバル女性リーダーの育成であるといえます。

 ところで、大学のこのあり方を財政的な問題と一体化して考えるのが望ましくないことは当然ですが、本学がつくりあげてきた教育と研究基盤をさらに発展させるためには、この方向性に基づいた、大学改革の姿を示さなくてはなりません。
 本学の現在の財政状況を法人化後の経年変化で示した表があります。この表から次のことがわかります。まず、法人化の際に言われていた通り、毎年1%の効率化係数によって、一般運営費交付金が減少してきたこと、そして同時に、競争的に大学の活動資金を配分する、という考え方に基づいて、他の大学と同様に本学でも競争的資金の獲得に多くのエネルギーを費やしてきたことです。たしかに、COE、GCOE、大学院教育イニシアティブなどに加えて、特別経費の獲得によって多くの競争的資金を獲得して大学の教育研究活動の評価を高めてきました。ただし、この表に見るように一般運営費交付金の減少はとどまることなく、法人化から10年を経て2004年の10%減になっています。
 しかもこれからは、競争的資金によってではなく、改革加速期間に大学改革に取り組む大学に、第三期の運営費交付金を傾斜配分するという考え方へと変化しています。
 そこで本学はこれにどう対応すべきか。いま、大学改革の姿を示さざるを得ない状況にあります。  とはいえ本学はこの間すでにさまざまな改革を行ってまいりました。法人化の際の機構室体制、大学院の組織改革、学士課程教育改革などです。この文脈の中でこれまでの改革を結実させて、お茶の水女子大学の姿を示すことが重要だと考えています。
 これまでの本学の改革を顧みるとき、次の三要素を打ち出すことが可能です。

 第一に、事務組織を中心とした運営組織の改革です。
 これは、室機構体制の統合化、そしてチーム制によって目指してきた事務組織の機動性をさらに高めることです。事務組織には二つの機能が求められています。それは、恒常的な実務と多業務を横断する全学的で可変的な業務です。前者については「課」という体制で、後者はプロジェクトチームのように機動的に短期間で目的を遂行する体制です。
事務組織改革は、夏を目途に実施する予定ですが、その際、副学長お1人に事務総括をお願いする予定です。これについては先行的に4月1日からその役割を担っていただくことにします。そして、事務組織全体の改革に向けて問題点の検討を図っていくことにします。

 第二に、教育体制です。
本学の教育体制の重要な特色は二つあるといえます。一つは、高度な研究に裏付けられた教育であり、研究と教育が一体化していることです。それを活かす必要があると考えています。他は、大学院教育、つまり国立の女子大学としての高度な教育です。これら二つの特色を活かして、グローバルな視点をもってリーダーシップを発揮する女性を育成する体制が、いま本学に求められています。

 第三に、教員組織です。
2007年に大学院の教員組織である「系」を創りました。その後、本学では競争的資金の確保に伴って多様な教員が教育を支えてくださる状態になり、当時と大きく変化してきました。現在では、特任の先生方が約15%です。全学的な教育効果を明らかにするために教員組織を統合させてそれぞれの役割を発揮していただきたいと考えています。

 なお、第二、第三の教育体制、教員組織については部局長の先生方とも議論していきますが、これら三方向の改革によって、これまでの本学の取り組みを明らかにして大学改革の姿を示してゆきます。
 これからのお茶の水女子大学が、確かな財政的基盤を得、国立の女子大学として、社会を牽引できる女性を育成できる環境を確保する改革にしてゆきましょう。
 そしてその時の基本的な考え方は、グローバルな視点をもってリーダーシップを発揮し、社会と時代を牽引する女性を育成することです。
 そのためにぜひ皆様にご協力いただきたくお願いします。

 お茶の水女子大学は来年、創立140周年を迎えます。そこで、今年からそのための事業を開始します。一つは、150周年に向けて本学の歴史資料を整理すること、もう一つは、募金事業です。この募金の目的は二つあり、学生の海外派遣の基金と附属図書館の増築のための基金です。本学の附属図書館はこれまで国立大学に限らず大学附属図書館の新たな取り組みのモデルの役割を果たしてきましたが、今回、新たな図書館構想に基づいた次世代の図書館を目指しています。

 これからも本学は、もっとも伝統のある国立の女子大学として、普遍的な役割を担いつつ、社会的な要請に的確に応えてゆかなくてはなりません。そしていま、その体制を確立しておくことが必要です。
 本学の未来を輝かしいものとするためにどうぞ皆様のお力をお貸しください。

 

   

お茶の水女子大学長 羽入佐和子

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