2010年4月5日(月)学長所信表明

 1年間ご協力いただきましたことをまず初めにお礼申し上げます。
 ご承知のように法人化後第一期の評価として国立大学法人のランキングでお茶の水女子大学は第5位と高い評価を得ました。 評価や順位にこだわることは必ずしも賢明ではありませんが、特に、教育と研究についての評価が高かったことは、この大学のこれまでの蓄積によるものであり、 これを、現在の社会情勢を見定めて強固にしてゆくことが私の使命であると考えています。
 ただし、このことは教育の方法を社会の変化に順応させることではないと理解しています。 重要なのは、高度な教養教育と基礎研究を遂行するに足る基盤の確保であり、流動的な社会情勢の中でゆるぎない視点をもって教育に当たり、研究体制を維持することです。 世の中の動きが不透明である今、特に重要なのは、短期的な成果主義や一元的価値観に翻弄されることなく、長期的視点をもって未来を志向し、教育研究の基盤を磐石なものとし、 優秀な人材を継続的に育成し輩出することが重要だということは教職員の皆様の一致した考え方だと思います。
 そこで、今年の初めに申し上げた通り、第二期中期計画期間は、いわばflowよりstockを重視し、その質を高めることを基本的な方針といたします。

 教育、研究、業務運営のそれぞれについて、今年の方針は次のように考えています。
 まず、教育の目標としては、複数プログラム制をはじめとする学士課程教育の実質化のための体制を整備し、21世紀型高度教養教育を「お茶大型リベラルアーツ」としてモデル化することです。
 また、研究の推進に関しては、この大学が培ってきた研究の視点、つまり基礎研究と生活者の視点を大切にしてゆきたいと考えています。平成23年度に向けては、お茶の水女子大学の研究の特徴を念頭におき、 昨年末に閣議決定した「新成長戦略」を考慮した研究プログラムを概算要求事項として重点的に盛り込む予定です。
 これらの教育と研究は大学組織として最も重要な問題ですが、これらと同様、業務の改善は法人組織としての最重要課題といえます。 事務職員と教員が、それぞれの役割を存分に発揮できる組織作りの基盤を構築し稼働させることは、国立大学法人の存亡にもかかわるといえます。 昨年度からその方策を模索してきましたが、今年度はこの点を考慮した改革に大きく踏み出したいと考えています。

 教育、研究、業務運営についてはこのように考えていますが、お茶の水女子大学全体としては、社会性と国際性と安全性を強調しておきたいと思います。
 最初に申し上げた通り、大学は社会組織の一形態であり、社会の動きには常に敏感でなくてはなりません。 そして、私たちのキャンパスで学ぶ人々も、私たち自身ももちろん、社会の中で活動する人々です。日々それらの人々に接する我々が社会状況に目を向け、その上で「教授する」ことが必要です。
 このことは、国際性についても同様です。グローバル化する世界の中に私たちは身を置いています。 国際的に通用する人々を育てることが求められているのは当然のこととして、大学自体が国際的に位置づけられる必要があると考えています。そのためにも、今後国際本部を強化したいと思います。
 ところで、私たちの大学では、附属学校園と大学とが一つのキャンパスにあります。そして多世代の人々が同じ敷地に集います。 さまざまな面から安全性が確保されていなくてはなりません。設備的な課題を解決してゆくとともに、構成員一人ひとりの協力をいただきながら、安全なキャンパスづくりを心がけてゆきたいと思います。

 法人化後第二期の初年度にあたる今年は、今後のお茶の水女子大学の行く先を決定づける重要な時期であることをよく自覚し、教職員の皆様のお力をお借りして、 お茶の水女子大学らしい発展のために力を尽くしたいと考えています。
 皆様のご協力を切にお願い申し上げます。

 

   

お茶の水女子大学長 羽入佐和子

国立大学法人お茶の水女子大学 〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1

責任者:お茶の水女子大学ホームページ運営委員会委員長 

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