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自然科学者の郷通子学長、「NHK短歌」(2006.9.9)に出演

 9月9日(土)[再放送9月14日(木)]に、郷通子学長がNHK教育テレビ「NHK短歌」に出演しました。共演は、選者で歌人の河野裕子さん。視聴者からの投稿歌への感想を語ったのち、学長が紹介したのは、本学出身の物理学者、(故)湯浅年子教授の短歌です。

 湯浅年子教授は1909年生まれ。本学前身の東京女子高等師範学校理科を卒業後、東京文理科大学物理学科を経て、物理学者としての道を歩み、ジョリオ=キュリー夫妻(マリーとピエールのキュリー夫妻の娘とその夫)の人工放射能発見の論文に感動して、第二次大戦期の困難な時代に、渡仏して研究を続け、戦後もフランス国立中央科学研究所所属の研究員として業績を重ねた、日本で最初の国際的女性物理学者となりました。

 湯浅教授は科学者であると同時に、文学へも深い思いを寄せ、日仏文化交流に尽力し、自身も『パリ随想』三部作をはじめとして、味わい豊かな文章を多く残しています。
 今回、郷学長が紹介した湯浅教授の短歌は、「帰る船なしときゝつゝ秘やかに躍る心を母許しませ」という一首です。フランスで、父の死の知らせを受け取って、「日本に帰らねば」という思いと、「研究を続けたい」という思いの葛藤を背景にした歌です。学長はこの一首に、若き湯浅教授の研究へのやむにやまれぬ情熱が感じ取れると語っています。湯浅年子教授のそのときどきの随想、日記、短歌等は、山崎美和恵編『湯浅年子パリに生きて』(みすず書房、1995)で読むことができます。『パリ随想』三部作とともに本学図書館に所蔵。

 遙かなる母の恋しも細雨のけむりてけうとき夏の朝は (1943・7・23)

 神さびてたちます老いし師の君の白き実験着の目にしるきかも (1945・3・10)


湯浅年子教授については、理学部のHP「女性科学者の源流」をご覧ください。理学部ホームページ

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