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大学間協定により、カブール大学で河野貴代美客員教授が授業

 カブール大学(アフガニスタン)と本学の大学間協定により、「開発途上国女子教育協力センター」所属の河野貴代美客員教授(2005年3月までジェンダー研究センター教授)が、5月28日から6月3日まで、当該大学の教育・心理学部で心理学(とくに紛争中におけるトラウマと「こころのケア」)の授業をおこないました。カブール大学はアフガニスタンで伝統のある最大規模の国立大学で、14学部あり、夜間もふくめて学生総数は9000人です。教育・心理学部には心理学、教育学、マネージメントの3学科があり、約400名の学生が学んでいます。

 授業日には大講堂に約200名の学生が参集し、学部長のミラクアム教授からお茶の水女子大学と河野教授の紹介があったのち、授業が展開されました。冒頭で、どのような質問も可としたために、当初から活発なフィードバックで始まったそうです。今回、「こころのケア」のマニュアル(英語とダリ語)を持参し、具体的に理解しやすいように工夫されました。なおマニュアルのダリ語への翻訳、および授業の通訳には、スルタニ・トロペカイ本学同センター客員助教授が担当されました。非常にこころを打たれたと語られているのは、トラウマを説明し、その後「トラウマタイズされている人は挙手を」と尋ねたところ、学生に混じっていた教員が立ち上がり、「それは質問が逆。トラウマを受けていない人は挙手と言うべきだ」と訂正されたことです。紛争の後遺症の実態の深刻さと、その解決へ向けての援助の必要性を実感されたそうです。

 河野貴代美教授は政府調査団の一員として、3年前にもカブール市を訪れていますが、当時に比べると、道に並ぶ露店には品物があふれ(肉、野菜、果物等)、市場活動は活発に見受けられましたが、物乞いの女性の姿はあまり減っておらず、一般的な人々の暮らしは厳しく、経済的格差も確実に広がっているようです。またこのように一見平穏な暮らしぶりですが、出来事をきっかけに簡単に動乱に発展することも偶然、体験されました。到着日に起きた突発的な動乱に巻き込まれたため、活動は実質2日間になりました。

 けれども授業では、学生は熱意をもって受講し、カブール大学からも熱心に受け入れられ、お茶の水女子大学とカブール大学の教育交流の端緒を拓かれました。今後、具体的な訓練内容を検討し、カブール大学内における面接室の設定等の案も携えて、10月に再度訪問する予定です。

 すでにカブール大学から理学部に3名の留学生を受け入れていますが、この相互交流は、今後の本学の国際教育交流活動の貴重な基盤や資源になると思われます。

カブール大学での授業風景
(上)カブール大学での授業風景
(上)カブール大学での授業風景
カブール大学心理学部長との打ち合わせ
(上)カブール大学心理学部長との打ち合わせ

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